あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)/川北 稔

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

イギリス近代史講義 (講談社現代新書)

 近代イギリス史の大家である川北稔氏による新書である。
 「あとがき」を読んで分かったのだが、座談の内容を文字起こししたモノらしい。しかし、一読するとそんなことが分からないようなしっかりとした内容である。
 ウォーラーステインの歴史理論である世界システム論を日本において広めた第一人者であり、その観点で書かれた「砂糖の世界史」なんかも有名であるが、本書もそうした観点を幾分踏まえながら書かれている。ただ、完全に世界システム論かといえばそうではなく、上手く説明出来るモノと出来ないものとがあるという、なかなかフラットな立場である点に好感が持てる。

 どうも歴史研究は政治史に偏りがちになるが、川北氏の場合は社会史や経済史の観点が強いおかげで、世界史の教科書に載っていた事柄のバックグランドが非常につかみやすい。近代イギリス政治を成立せしめた社会的背景は何かという事に興味がある人はとても面白く読めると思う。