ハムレット(ニナガワ☓シェイクスピア レジェンド第2弾)
今日は「ハムレット」を見てきた(さいたま芸術劇場)。前半はやや冗長か。飽きっぽい自分は途中で睡魔に襲われてしまった。自分にはシリアスに過ぎるんだよなぁ。もともとそういう話だから仕方がないけれど、いつもの蜷川シェイクスピアみたいに悲劇は喜劇という要素がなく悲劇である。
主演の藤原竜也にケチの付けようがない。川口覚ハムレットが抑えた演技に狂気が覗いていたとすれば、藤原ハムレットは正統派だ。あれ以上にハムレットにはならないんじゃないか。もっと表現に振幅があったほうが好きだけど。満島ひかりはもっと声が欲しい。セリフが聞こえづらいのが難点。
だから、一番安心していてつくづく上手いなぁ,と思ったのが平幹二朗と鳳蘭だった。とくに平幹二朗は自身が3度ハムレットを演じているらしく、クローディアスの人物像が非常に重層的だ。悪人なのか?一人のよくある人間なのか?台詞回しや演技に迷いが見られない。
だから、逆説的に先王ハムレット(ハムレット父)は本当に毒殺されたのか?それすら幻覚なのではないのか?という気にさせる。セットは明治の日本家屋らしく、外国公演を意識した蜷川自身のアイデンティティを確かめるような演出だった。歌舞伎の見栄や雛人形のセットは、まさにそう。