東京都交響楽団 第788回 定期演奏会
指揮/ベルトラン・ド・ビリー
デュティユー:交響曲第2番《ル・ドゥーブル》 (1959)
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73
ベルトラン・ド・ビリー指揮のデュティユーとブラームスのプログラム。日本には馴染みがない指揮者だが、今回聴いた限りではかなりの実力派だ。大野和士が招聘したいと思っていた指揮者だけあって期待が高まるプログラムである。そういえば、ジョアン・ファレッタなんて多分デプリーストが呼んだのだろうと思うけれど、なかなか良い指揮者だったけどなぁ。オケとあまりピッタリこなかったのだろうか?実力ある指揮者は日本国内で知られていなくてもドンドン呼ぶと良い。
デュティユーは指揮者をオケが二重(ル・ドゥーブルなんでしょ?)に囲む配置をしている。
CDで聴くと、再生装置が良ければかなりクリアになるのだろうけれど、やはり実際に聴いてみると、より響きが内側と外側で部分的に重なり合ったり、シンクロしたり、絡み合いながらも違ったりと・・・なかなか面白い。
解説にもあったけれども、3つの楽章はいずれも疑問系で終わるのが個人的には生理的にスッキリしなかった。つまらなくはないけれど、じゃあブラームスと比べてどっちが聴いていて面白いというか、聴き応えがありますかと訊かれれば、断然後者だ。そのあたりが20世紀の作曲家でもショスタコーヴィチやブリテン、メシアンなんかとはちがう。もっとも、メシアンも自分には分からない方が多いんだけれど・・・。
ブラームスはスケールも大きく立体的な響きだった。ファゴット、ホルンにチェロ、コンバスが鳴り厚い響き。普段と都響とは響かせ方が違うというのだろうか、ヴァイオリンがそれほどでもない(いつもはもっと出ている)ように感じたのが大きいか?多分、インバルの薫陶を得た後だから、こういう演奏になるのだろうな。文化会館というホールの特性もそれをハッキリと際立たせる。多分、サントリーや芸術劇場なら、もっとマイルドになるのだろうけれど、そんなことにはならない。
ビリーの指揮は煽るような感じではないけれど、体温が低い演奏でもない。特に弦はストレス無く弾けたのではないか?と思うほどに大らかに歌わせていた。それがブラームス交響曲2番にはピタリとハマっている。とても美しく、叙情的なブラームスだった。久々ながら良い演奏である。