あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

「尺には尺を」観ました!

会場 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
演出 蜷川幸雄
作 W. シェイクスピア
翻訳 松岡和子
出演 藤木直人多部未華子
原康義、大石継太、廣田高志、間宮啓行、妹尾正文、
岡田正、清家栄一、飯田邦博、新川將人、野辺富三、
周本絵梨香 、鈴木彰紀 、竪山隼太 、堀源起 、
手打隆盛 、松田慎也、内田健司 、浅野望
立石涼子石井愃一辻萬長 ほか

 蜷川幸雄の遺作となってしまった、シェイクスピア「尺には尺を」を観劇しました。
 
 あらすじはWikipediaあたりを参考にしてもらうとして、喜劇ながら問題劇のカテゴリーにも入るらしい、この戯曲を、蜷川シェイクスピア発の多部未華子藤木直人が丁寧に演じていたな、と言う印象。

 もっとも、蜷川自身は演出の構想くらいしか関われなかったんじゃないかなぁ、と思うくらいには、いつもの尖った感じは影を潜めていましたが。こまどり姉妹がいきなり歌い出す「ハムレット」や、「ロミオとジュリエット」でラストシーンにマシンガンを乱射して、両家一族を皆殺しにしてしまうと言う演出をするくらいだけれど、そういうのは一切無いです。
 もっとセリフの言い回しや、立ち位置も含めた動作に拘るだろうハズだけれど、よく言えば常識的で、悪く言えば、蜷川シェイクスピアとしてはやや緩い感じなのは否めない。
 でも、それを含めて、この劇を何とかやっていこうとする集中力は強く感じられるのは良いですね。

 役者で言えば、藤木直人はスタイルが良く、40歳を過ぎてもイケメンはイケメンなんだなぁ、と。今回の役(アンジェロ)どころはピッタリだね、と蜷川に言われただけあって、確かに冷徹非情に法を執行する行政官と、一時の欲情に身を滅ぼしてしまうアンジェロは、雰囲気的に似ているかもしれません。
 多部未華子はまさに、今回修道女にならんとするイザベラにピッタリでした。まさにイノセント!という役にハマっているわけです。顔も小さいのな。DNAのどこが違うとこうなるのか? それでいて、コミカルに私の純血のために、死刑の兄に死刑を勧めるというのも多部・イザベラなら違和感がないのです。

 開演20分前には客席に着いていましたが、何もない舞台に練習をする役者たちという、演出も久しぶり観ましたし、カーテンコールの二度目に、蜷川幸雄の大きな肖像が出てきたのも、ある種のメモリアルな蜷川幸雄総決算的な芝居になったのではないかと思います。

 それにしても、地味に公爵は悪いよね、と思うし、最後にアンジェロは思想に殉じろと思うのは韓非子的な発想と言えなくもない自分がいました。法を執行することで不正が実現し、執行しないことで正義が実現するというのは、なるほど、これが問題作と言えるゆえんだろうな、と見終わった後の、楽しさと共に考えさせられました。
 ところで、「あなたのものは私のもの、私のものはあなたのもの」というジャイアンを連想させるセリフがあったけれど、藤子不二雄はあまりメジャーとは言えない、この劇を知っていたのでしょうかね?