あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

岡田憲治『デモクラシーは仁義である』

デモクラシーは、仁義である (角川新書)

デモクラシーは、仁義である (角川新書)

 ようやく読了。電子書籍になるのを待っていると読み手である自分の鮮度というか問題関心が薄れているような気もするが、まあ、仕方が無い。
 前著『ええ、政治ですが、それが何か?』に比べると歯切れが悪いようにも思う。しかし、個人的には眼前で進行しているデモクラシーの基盤を掘り崩されているような状況に最大限抗い、デモクラシーを守ろうとする裏返しなのかもしれない。恐らく著者の主張でもある「純粋合戦をやめる」に通じるのだろう。
 デモクラシーは手段でもあり目的でもある。それは多様な人びとが生きていくなかで守りたいものを守るために、歴史のなかで形成された知恵であり仕組みなのだ。だからこそ、そこに疑義を持つヒトをも囲い込もうとする本書はまさに政治学者による辻説法なのである。
 出来うるならば、多くの人が本書を読んで、「どうせ選挙なんか」とか「どうせ民主主義なんか」というシニカルなひとたちを説得するツールとして活用されれば良い。感想を書きながら、世界観を共有せずとも、政治的目的を達成する手段としての政党支持という丸山眞男の言葉を思い出した。