予備校で日本史を担当し、現在はフリーで著述活動を行っている著者の新刊。「お言葉」以降、
天皇制や
生前退位についてメディアでは採り上げられることが多くなった。本書は前近代の
天皇にスポットを当て、
生前退位という言葉ではなく、本来用いられた譲位受禅という言葉を使う。そして、藤原
摂関家や
織豊政権、
江戸幕府など、その時代の権力者と向き合いながら「ミカド」としていかにあろうとしたかを9人の
天皇にスポットライトを当てながら探っていく。近代以降の
天皇制を相対化しつつ日本史における
天皇制を考える思考の補助線となるだろう。