あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

360°マテリアル

 この連休中に思わず読んでしまった。ビッグデータなのだと思うけれど、購入履歴からおすすめ商品が出てくるので、思わずクリックすると芋づる式に他のマンガが紹介されてしまう。そして、その罠にはまってしまう。
 しかも、電子書籍というのはスペースをとらないからマンガをどんどん読んでしまって危ない。とはいえ、全8巻なので、被害は少ない(何がだ)。
 それはさておき。
 他のサイトで情報を探してみると、本作が南塔子の初連載なのだそうだ。それまでは読み切りで描いていたらしいので、熱い視線を送っている読者もいたようで、なにより。

 管理人が360°マテリアルを読んだのは試し読みの1話が出色の出来だったからだ。しかし、後になってみれば納得。この話のまとめ方はまさに1話読み切りで培った見事な構成力の賜物だろう。
 これと言った特技が無い、成績・運動神経「中の中」という、よくいる主人公・大高美桜(おおたか みお)と、「数学は無敵だけれどちょっと抜けてる」滝直(たき すなお)のオーソドックスな少女マンガである。
 ネタバレになるけれど、ちょっとだけ。
 とにかく、描いたとおりに第1話がよく出来ている。高校生の青春の爽やかさが秋空の飛行機雲を媒介として非常に良く描けている。読み切り1話完結、と言っても良いくらいのキレイなまとめ方だ。抜けている(天然系)理系青年滝くんが駅のホームで電車が来るのも気づかずにボーッと上空の飛行機雲を眺め、それを慌てて美桜が電車が通過する直前にホームから引っ張り間一髪セーフだったところから、二人の物語は事実上始まる。
 天然だけれど、数学は無敵なというツボを押さえている(こういうのは理系のステレオタイプなような気もするが、まあ、それも含めて少女マンガのカレ役の設定としては納得だろう)滝くんと、数学が絶望的に出来ない美桜との関係や、屈託無く秋空を見上げながら「飛行機雲」を探すという清々しさに、1話の最後で再びもどってくるというあたりが(実は最終話でも戻ってくるのだけれど)よく出来ているなぁ、と。
 他の作品ほど、大きな事件は無いのだけれど、日々の心理描写の積み重ねが、等身大の青春っぽくて観ていて恥ずかしくもあり、うらやましくもある。
 巻の終わりの方は、8巻終わりとせずにもっと膨らませた方が登場人物たちの厚みが出たと思う。(滝くんは何で美桜に惹かれたかというのが、最終話で明かされるけれど、そんな素振りが途中一切無いし)