「土佐堀川」観劇
時事問題ばかりブックマークして、何やら生臭い話題ばかりなのだけれど、連休中、有楽町シアタークリエで「土佐堀川」を観劇した。NHK朝の連ドラ「あさが来た」主人公、広岡浅子の生涯を描いた芝居である。主役の浅子役に高畑淳子。近代日本の女性実業家の生き様は強烈だ。
なお、タイトルの『土佐堀川(とさぼりかわ)』は浅子が嫁いだ大坂の両替商・加島屋の所在地に流れる川の名称であるという。朝ドラ「あさが来た」も、原作となる小説は『土佐堀川 広岡浅子の生涯』と共通なので登場人物、ストーリーは大筋で同じとみて良い。
三井家の子女として生まれた浅子は女であることを理由に学問はおろか読書さえ禁止され、生涯、学びへの渇望を抱いていた。嫁入りした加島屋は興味を抱いていた経営に次第に加わるようになるが、明治維新によって経営が傾き、浅子は石炭事業に加島屋再興の活路を見いだす。
紆余曲折を経て、潤野炭鉱の再興にこぎ着け、数々の事業を成功に導き、女性実業家として名実ともに日本を代表する存在になった。そんなときに、女子教育の必要性を説き、女子大学校設立という夢を持った成瀬仁蔵と出逢うことで、女性であっても自由に学び、活躍できる社会、という幼い頃からの夢を実現すべく、成瀬と共に大学設立に向けて奔走することになる。(そうして創立された大学こそが、現在の日本女子大学である)
広岡浅子のエネルギッシュな生き方と、物語自体の力から骨太で、前向きで、夢を持ち、壁を乗り越えようすることは素晴らしいことなんだという気持ちにさせられる、アドレナリン多めの芝居である。基本的に逆境をバネに頑張る姿という、物語の王道だけに、芸達者な高畑の演技力も相俟って大いに楽しめた。
さすがに、朝ドラの波瑠に比べると、若かりし頃は若作りをしても無理があるのだが、休憩を挟み後半以降は、この役は他に誰が演じきれるであろうか?と思わせるだけの圧倒的な存在感を示した。玉木宏やディーン・フジオカは出てこないけれど、脇を固める田山涼成や小松政夫の存在も大きく、圧巻だった。