あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

大阪フィルハーモニー交響楽団 第512回定期演奏会

<出演>
指揮:ラドミル・エリシュカ
ソプラノ:木下美穂子
バリトン:青山 貴
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指導:蘄島章恭)

<曲目>
ドヴォルザーク/伝説曲 作品59より第1〜4曲
ドヴォルザーク/テ・デウム 作品103
ドヴォルザーク交響曲第6番 ニ長調 作品60


 週末は大阪に行ってきた。

 目的は人生初めての「遠征」である。まさかコンサートを聴きに行くために大阪まで行くとは自分でも思わなかった(笑い)。
 大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会チェコの名匠、ラドミル・エリシュカの指揮で聴く。御年86歳のエリシュカ、今回が日本のラスト公演である。

 朝イチで仕事をして、職場から仕事道具を鞄に入れたまま出発である。ホントは札幌交響楽団Kitaraでエリシュカ、(本当の)ラストコンサートを聴きたかったのだけど、次の土曜は勤務日なので泣く泣く断念。土曜が休みなら金曜の昼フライトで、札幌ステイだったのになぁ。
 でも大阪で聴けることに感謝であった。小学生みたい前日からウキウキして、そのままの勢いで新幹線に!


 初めてとなる、大阪フィルの本拠地、フェスティバルホールは実にスケールある、ゴージャスな感じ。なんだろう、タカラヅカとか、阪急の梅田駅みたいな、やっぱりここは大阪なんだな、という空間だった。
 さて、目的の定期演奏会。86歳のエリシュカは全く年齢を感じさせない指揮ぶり。指揮もキビキビと振るし、ちゃんとオケに対して、キューも出す。高齢になると、音楽にスケール感と引き替えに、躍動感がなくなってしまったりするんだけれど、弛緩することなく、緩急使い分ける、まさに名人芸の様相である。聴きながら、落語の名人芸ってたしかに緩急織り交ぜながら「勘所」は絶対に外さないんだよな、と思わせる演奏だった。
 それはテ・デウムのときから感じられた。凝縮した響きの一方で、要所ではオケの緊張を解き、大らかに音楽を作っていた。

 テ・デウムは合唱も入るけれど、力まずに、しかし目一杯という感じで、最後にアレルヤと高らかに歌うあたり、ホールはカタルシスに包まれていた。
 続くドヴォルザークの6番エッジが効いている、だけでなく、ここでも勘所は絶対に外さない指揮だった。もっと、ノイマンの録音みたいに穏やかな演奏を想像していたんだけれど、ここでも躍動感は有りながら、オケの響きは厚みがあるし(在京オケの方が機動力はあると思うが)、朝比奈時代の大阪フィルっぽいなぁ、と感じる事しきり。

 終演後は大きな、それでいて、暖かな拍手だった。別れを惜しみながら、幸せな時間をもたらしてくれたチェコの名匠に感謝の気持ちを楽団員も聴衆も表していた。お茶目に小走りで袖から出てきたり、この最後の来日公演をplay しているのが伝わってくる。来日公演最後は、一番結びつきの強い札幌交響楽団というのも幸せなんだろうな、なんて感じたり。
 飛行機で12時間くらいフライトする、遠いアジアの島国で、音楽人生の集大成となるところで、楽団員と聴衆と、まさに音楽を作って行けるというのは素晴らしいことなんだろう。だからこそ医師の指導に反してまでお別れの来日公演をしてくれたのだ。エリシュカさん、本当にどうもありがとう!