あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

都響968回定期演奏会

 2月はA定期はないので、都響C定期を聴く(東京芸術劇場)。
曲はラロ「スペイン交響曲」、ベルリオーズ幻想交響曲」。指揮はトルトゥリエ、ヴァイオリンがベイルマンであった。
 ラロはベイルマンの意欲的表現が印象的。しかもそれを可能にする抜群の技術がしっかり支えている。技巧を要するところも楽々弾いているし、だからこそ、その技術的・精神的余裕から自由に演奏しているように思った。オケの伴奏の上でダイナミズム良くリズム感溢れる演奏だ。テクニックはそうでなければ、と思う。打って変わってアンコールはバッハ。目が覚めるよう。

 後半の幻想はトルトゥリエが曲を完全に消化している。自分の記録だと2006年に聴いて以来、17年ぶりだ。あの時も弦のニュアンスの豊かさに感銘を受けたけれど今回も弦楽器に対する細やかな指示は健在でヴァイオリニストとしても適性を示す彼ならでは、といった演奏だ。

 弦楽器奏者であればソロで「こう弾きたいよね」というところを「そう弾かせる」ため、(弦楽器に使うかどうか分からないんだけれど)テンポルバートが起こって、独特の“タメ”のような瞬間が生まれる。こういう演奏を聴いていると「ベルリオーズの楽譜に書いてあることを“演奏する”ってことはこういうことなんだよ」って言うような文化の蓄積のようなものを感じた。「ここまでできる」とでも言うのだろうか。そして、5楽章のグロテスクなまでにデモーニッシュな表現が下品にならないのも、大音響でも力こぶ全開にならないのも、指揮者の中で「そういうもんだ」というのが分かっていて、それをオケに明確に伝えられているからだろうな、と思った。
 名曲だけに良い解釈者を迎えると非常に「やっぱり凄い曲なんだなぁ」と思わせられた演奏会だった。作曲家の肖像シリーズを引き継ぐC定期だからこそ、この選曲・演奏で大正解だと思う。大満足。