あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

イタチごっこと諦念に抗して①〜マンション強度偽装問題

 親友の玉吉氏よりリクエストがあったので、耐震強度偽装問題について。

 以前の記事でも、若干コメントした訳なんだけれども、あれからいろんな事実が噴出してもう何がなんだか分からない状態。
 そんなわけで、自分としてはもう良いかな、と思ってしまったわけですが、コメントをもらった以上きちんとそれに応えなければいけませんよね。それに、無関心を装うのもよくないと日頃から思っているんだから、正直に考えなくちゃいけない…。
 なので、再び焼き直す感じでいきたいとおもいます。昔の記事と被るところがありますが、勘弁してね。


 まず、これは過去の記事にも書いたとおりなんですが、企業は「利潤の最大化」を一番の目標にするものだということです。
 松下幸之助が「会社は社会の公器である」といったり、かつての日本には社会と企業の関係を重視し、企業は単なる利益追求体であってはいけない、とする経営者がいたものですが、バブルとその崩壊は日本的経営システムに根本的な転換を迫りました。
 護送船団方式が崩れ、競争原理に晒されることになると、「他社よりよく売れること」はそれまで以上に重要になったと考えられます。しかも、不動産業はバブル崩壊以降の平成不況の中で売り上げが低迷していたわけですから、この傾向が一層顕著だったともいえます。
 そんななかで、売り上げを良くするために、少しでも販売価格を下げなくてはいけない。従って建築のコストダウン合戦が繰り広げられた結果、基準よりも少ない強度でも強引に造ってしまったわけです。検査会社もコストカットをするためにおざなりな検査しかしなかった。


 本来であれば、そこは耐震強度という社会のルールがあるんですが、それ以上に、利潤の最大化という企業のルールが不況下と相まって優先されたといわざるを得ません。
 アダム・スミスの時代には企業側は理性ある存在であるという前提がありました。しかし、今日ではその前提なく「欲望の体系」だけが際限なく拡がっているようです。
 だから、前回は何でも民間にすれば解決する、という姿勢に疑問符を投じたわけです。
 阪神淡路大震災以降、神戸市の耐震検査は非常に厳しく、また、いつでも内部告発できるようにHPを設けているので各業者はふんどしを締めて仕事をする、とあったように、官がやる方が安全だという場合も往々にしてある。


 民間でも検査が出来るようになった1999年以降、一戸建ての住宅にいわゆる「欠陥住宅」というものが急増していると指摘されてます。一戸建ての欠陥住宅があるわけですから、集合住宅の欠陥住宅があるがあるのは、さもありなん。なんですが、それが現実のものとなってしまった。
 ただし、管理人個人の不安は、欠陥住宅の場合、設計段階ではきちんとしたものが建設段階でコストを削減するために手抜きをした。これと同様な事態が発生したときどう対応するのか。
 つまり、姉歯氏のように構造計算書の段階での手抜きをしていない、計画の段階では万全のマンションでも、実際建築する際に手抜きをしたら「欠陥マンション」問題が発生するんじゃないかと思うのです。そして、建設段階での手抜きは表面上は一切分からない。10年以上経たないと欠陥が表面化しにくいという問題もあります。


 いたずらに不安を煽る訳じゃないんですが、現実に一戸建てでは、建築段階の手抜きが問題化されているのに集合住宅ではそれが問題化されないと言うのは、気がかりです。


 話を元に戻して、企業の「利潤の最大化」と社会の「安全が一番」が本来であれば両立する範囲でしかマンションの建設販売をしてはならなかった。だが、肝心の「居住者の安全」が守られなかった。
 設計者(姉歯氏)・建築会社(木村建設)・販売会社(ヒューザー)・検査会社(イーホームズ)が責任を巡って、なすり合いをしていますが、誰か一人だけに責任があるとは到底考えにくい。「業界の」とは言いませんが、一部でこうした癒着関係が成立していたものと考えた方が自然です。とすれば過失責任も含め、すべてに責任をとらせなければならないでしょう。
 これら4社の関係性については警察の捜査が必要でしょう。早く全容の解明に努めてもらわなければなりませんね。


(本題は次回につづく、です)