あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

牛肉が食べられない、という次元なら安全だろうが…。

 民主党代表選挙の影に隠れてしまったが、実は結構大事な事じゃないか?と思う記事。最近はオムハヤシとか適当なことばっかり書いていたから、たまには元に戻るっていうのもありで良いと思うんですけど。
 でも、民主党代表選挙についてもコメントしないとまずいだろうなぁ…。


http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060408k0000e040076000c.html


プリオン調査会:委員半数が辞任、利用された無力感も

 BSE(牛海綿状脳症)問題や米国産牛肉の安全性を評価してきた内閣府の諮問機関、食品安全委員会プリオン専門調査会(12人)のメンバーの半数6人が先月末、辞任した。「残れば学者として信用を失う」「科学的思考さえ許されない」。辞めた委員は安全性に慎重な姿勢だったが、その言葉からは、学者としての危機感と同時に、政府に利用される諮問機関のあり方に対する批判も浮かび上がる。【藤原章生、本橋由紀、永山悦子】

 「安全対策の管理側(厚生労働省農林水産省)は、彼らが求める答えを引き出す諮問しかせず、あり方自体がおかしい」

 調査会で座長代理を務め、今回辞任の道を選んだ金子清俊・東京医科大教授はこう批判する。年齢制限を理由に辞任を促された山内一也・日本生物化学研主任研究員(74)も「事実を基に論を進める科学的思考とは違う」と振り返る。

 プリオン専門調査会は、03年8月に発足。同年12月、米国でBSEが発覚し、調査会は昨年5月から「米国・カナダ産と日本産の牛肉を食べた場合の危険は同じかどうか」というテーマに取り組んだ。

 ただ、条件がつけられた。米国産は、危険性が低いとみなされる若い牛に限定され、さらに脳や脊髄(せきずい)など危険な部位を除いたものを評価するという内容だ。結論は「米国産と国内産牛肉のリスクの差は非常に小さい」とされ、輸入再開に結びついた。小泉純一郎首相は、施政方針演説で「科学的知見」を踏まえたと力説したが、直後に米国産牛肉から背骨が見つかり、輸入は再びストップした。

 「我々はあり得ない条件で机上の空論を重ね、政府は私たちの答えの一部を示し『科学的根拠』を発表したのです」。金子教授が辞めた理由の一つは、政府の方針にお墨付きを与えるため利用されたという無力感だった。山内氏も「政府は輸入にストップがかかると『先生方が安全と言った』と責任をなすりつけた」と不満を隠さない。

 「他の委員の辞任にはコメントできないが、調査会の諮問がおかしいということは多くの人が当初から気付いていたはずだ」。昨年1月から欠席を続けていた品川森一委員(前動物衛生研究所プリオン病研究センター長)は辛らつに批判する。

 慎重派でも会議に残った堀内基広委員(北大大学院教授)は「ブッシュ大統領が来日する昨年11月の前には2週連続で会議があり、負担が大きかった」と語る。

 もちろん、反論もある。留任した国立医薬品食品衛生研究所の山本茂貴委員は「一定の条件の中で、危険を評価するのは普通のこと」と、現実と科学的論議に折り合いをつける諮問自体に間違いはなかったとみている。

以下略

毎日新聞 2006年4月8日 13時58分

 制作過程における審議会(この場合は諮問機関になるのだが)の役割というのなかなか判断が難しい。
 この審議会ないし調査会のメンバー選定は当然、行政の側が選ぶわけで、彼らからしてみれば始めから批判するようなヒトはメンバーに選定はしない。ただし、難しいところがあって、やはりその道の第一人者を呼ばないと何のために専門家を呼んだのか?という批判が出てくる。
 その辺のさじ加減が難しいのだけれど、ともかく審議会や調査会を発足させた段階で、行政の側にニュートラル(=中立)な政治意図など無く、「こういう方向に持って行って貰いたいなぁ」という雰囲気はあるのだろう。


 今回の件でいえば、早く牛肉輸入をしたい行政側と研究者の良心として安全性が確保されないモノに「安全です」って結論を出したくない調査会メンバーとの間で対立があってこういうような結果になったのだろう。
 逆に言えば、メンバー12人中、半数の6人が辞任していると事実が、牛肉の輸入再開に対する危険性を無言で証明しているようにもとれる。
 政府側としてはアメリカからの圧力もあってとかく輸入再開したいのだろうから、さっさと輸入すればいい。
 そこまで再開したいのならどうぞしてください。と言う気にもなる。
 ただし、その際にはきちんとした情報開示をしてくれればいいと思う。


 例えば「確率的に輸入牛肉の99.96%は安全です」みたいにさ。裏を返すと10000頭に4頭はBSEに感染している恐れがあります。みたいな表現でも良いけどさ。
 もう先がないヒトとか、進んでお食べになれば良いだろう。発症はすぐではないらしいし。
 インタビューでも「米国産牛肉は安くて助かります」とか言って子どもに食わせている母親とかいるんだしさ。
 ただし、それで自分の子どもがヤコブ病になったとしても、「リスクは覚悟してました」って言うくらいの覚悟はなくちゃだめだけどね。「どーしてくれるんだ」とは言って欲しくないな。自己責任とはそういうことだろうからさ。
 そーなったときに責任が取れないから、調査会は一貫して米国産牛肉の輸入再開に慎重な姿勢を崩さなかったんだろう。一般市民は専門的知識が乏しいから、そうしたリスクは政府が取り除く、という役割を期待していると思うのだが…。

 別にアメリカ産牛肉が輸入したくなくて、そういう措置をしているわけではないのだから、多少コストが高くなっても良いから、全頭検査の実施etc.をするように新たなガイドラインを日米双方で作ったらいいだろう。
 結局「急がば回れ」で失ったモノは人びとの間にあるアメリカ産牛肉への信頼なのだから、それを回復させる方法は早急な輸入再開では回復することは困難だろう。
 時間がかかっても良いから、じっくりと進めていくことが肝心ではないか。