神々の黄昏ではなく愛憎劇@古事記
- 作者: 角川書店
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/08/01
- メディア: 文庫
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いろんな出版社がやってる夏の読書フェア。ナツイチだったりyonnda?だったりしますが。角川から出ているビギナーズラックの古事記。ホントは日本史及びに日本思想を研究しようとするヒトならこんなビギナーズラックなんて読まないで本格的に格闘しないとダメなんだろうけど、ま、自分は「洋モノ」なんでいいかなぁって思いこちらへ。
それはさておき、記紀神話に出てくる世界観というか宗教観を抑えておくのは現代の天皇制を考える上で非常に重要でしょう。昔の人は記紀に限らず論語だとかの古典を素養としていたんだろうなぁ。そういう土台があったヒトの文章を読むに際して、それとは違う文化的素養を土台とする僕らは、彼らの文章をどこまで読み込めるのか、といった疑問がありますね。
ただし、古事記に書かれている日本の神々は非常に人間くさいのがたくさん出てくる。嫉妬で兄弟を殺そうとしたり、動物を騙したりでイエスのような人間を超越した強靱なる精神を発揮しているのとは対照的だ。そうした神話に成り立つ天皇制であることを考えると、むしろ天皇制や日本という国そのものの神聖化・絶対化はむしろ日本の文化伝統からは逸脱する側面も出てくるのではないだろうか。その意味でむしろ古事記を読むことがステレオタイプ的な日本の神聖化・絶対化をいったん相対化する可能性をはらんでいるとも言えるだろう。