変わらないのか変われないのか
それにしても薬害肝炎の問題をめぐる一連の報道を見ると、まったく厚生労働省も(旧)ミドリ十字も全く変わらないな、という印象がする。
ミドリ十字はwikipediaで検索かければ分かるのだけど、731部隊関係者が戦後会社を設立した製薬会社。
知らないヒトのために補足すると大日本帝国陸軍731部隊は当時(条約で禁止されていた)戦争での生物・化学兵器の研究開発やら、防疫の点から人体実験やらをしていた陸軍の特殊部隊。生々しい話だと、捕虜に牛や馬の血液を輸血して「大丈夫かどうか?」実験したこともある(当然、死んじゃう訳なんだけど)。
このあたり知りたかったら『悪魔の飽食』とか『731部隊』とか読んでみて下さい。(もっとも『悪魔の飽食』は厳密なテキストクリティークが求められると思うんだけど)
そんな設立の背景を持つミドリ十字は血液を凝固させる薬をつくったが、製薬の過程で加熱処理していなかったが為に、この製剤を使った多くのヒトがc型肝炎になってしまった。というのがこの問題の発端である。
さらに言ってしまえば後に非加熱による患者への「危険を知りながら」ミドリ十字と厚生省(今の厚生労働省)はしばらくそのまま放置して、薬の販売を続けていて(認可していて)、その後、この事件が明るみに出ないように隠蔽し合っていたという構図がある。
メディアを見る限りでは血液凝固剤も、他の人の血液から成分を抽出して精製するので、そのとき採取した血液にc型肝炎ウィルスがあると、出来上がった薬もc型肝炎ウィルスがいることになるらしい。だから加熱処理しなくちゃいけないだ。
c型肝炎になると、下手すると肝臓ガンになったりするので、適切に治療しなくちゃいけないらしいのだが、今回、厚生労働省とミドリ十字を合併した田辺三菱製薬にはこの薬害によって肝炎にかかったであろう200人分の患者氏名が放置されていた、というのだ。
それだけの情報があれば、気づかないかもしれない患者の命が救われることになるのに、まったく倉庫の中に放置していたというのだから、頭に来る。
厚生労働省や製薬会社という「ヒトの命」と正面から向かい合うこれらの組織がヒトの命を何とも思わない姿勢だというのが非常に大きな問題である。
それもこの問題は今回初めて表に出たものではない。すでに10年前からミドリ十字の問題は大きくマスメディアによって取り上げられ、既に多くの批判がなされたのにも関わらず、彼らは自らの態度を改めることなく、相も変わらず患者の命よりも自分たちの保身のためか無謬性を強弁し続けているように見受けられる。
10年前のデジャヴ感からか、僕らも感覚がマヒしているところがあるのだけれど、実はしっかりとこの事件の報道を追って、きちんと批判していかなくてはいけない。世論がこの問題の重要性を認識することで、政治が主体的にこうした問題に取り組み、厚労省や製薬会社に残ったウミを出させ、隠された真実を明るみにするよう努力をさせなくてはいけないだろう。
マスコミは亀田親子なんか取り上げている場合と違うぜよ
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