あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

 まだまだ棚晒し、8月の読書日記(笑い)。
 もう、9月ものこり1/3だよ!と言う声が聞こえてきそうな気配が…。

 積ん読状態だったけどようやく読めた。とはいえ、未だにタイムリーな話題だと思う。議論としてはサブプライム問題以前から日本には景気悪化が始まっていた為、更なる景気の後退になったとのこと。
 この日本特有の、景気後退のダブルパンチは若年層の雇用情勢に深刻な危機をもたらす。つまり、新たな就職氷河期の発生は、第二の「ロストジェネレーション」を生みだし、将来の日本社会に、景気が良いときに就職できた正規社員と、不況下でやむを得なくなった、非正規社員との深刻な格差が到来するだろうと予測する。

 バブル崩壊以降の日本企業は、正社員の採用を押さえ、派遣やアルバイトなどの非正規雇用を増やすことで、人件費を抑制し、輸出依存型の経済構造を作っていった。これはこれで一つの正解なのだが、日本は残念ながら、非正規→正規へと就職することが非常に困難な労働社会である。

 では、このような状況をどのように改善するのか?
 田中氏の立場はリフレ(=リフレーション)派なので、基本的にはポリシーミックス(財政出動+金融緩和)による景気回復優先というオーソドックスな結論。とはいえ、このこと自体、オーソドックスな経済学の考え方だと言える。ただ、不況の規模が大きいため、採られるべき財政・金融政策も従来的な規模ではなく、需要を喚起するような大規模なものにする、というものだ。
 具体的には介護・医療の現場に公的支援を行い、従事者の報酬を増やすことによって、供給人口を増やす、とか、職業訓練を行うなどである(ヨーロッパでは既に実践している)。


 その一方で秋葉原の通り魔事件の理由を第一義的には不況に求めるあたり、やはり政治学社会学とは違ういかにも経済学の見方なのだと思った。