サロネン指揮&フィルハーモニア管弦楽団/ヒラリー・ハーン
ワールドクラスの実力は?
シベリウス:フィランディア
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
フィルハーモニア管弦楽団
エサ=ペッカ・サロネン 指揮
ヒラリー・ハーン ヴァイオリン独奏
アンコール曲は「バッハ:無伴奏パルティータ 第3番より ジーグ」(ヒラリー・ハーン)と「シベリウス:悲しきワルツ」
今日はサロネン指揮&フィルハーモニア管を聴いた。会場は川口リリアホールである。
理由は簡単で、サントリーに比べて格段に安いことと、東京芸術劇場に比べて良い席が取れそうだからである。
おかげで、A席の最前列という、その辺り少しケチっているのだが、かなりベストな場所で聴く事が出来た。
ヒラリー・ハーンは女流と言うけれど、その身長など、日本の男性ソリストよりもよほど充分だろうと思わせる。
1980年生まれだから35歳になるのだろう。質実ともに充実している。丁寧にしてハッキリとした、安定感のある、もはや完璧なるブラームスだ。
最初からため息しか出てこないんだよね。つくづく巧い。終楽章も軽やかなんだけれどそれが上滑りとは真逆の、しっかり弾ききる安定感だ。
オピッツとか都響にも来るんだから、ヒラリー・ハーンも来て良いよね、なんて(笑い)。
ベートーヴェンは普通なら生ぬるくて聴けないような軽やかさなんだけれど、世界レベルのオーケストラの技量がそれを全く感じさせない。颯爽として、しかし「鳴りきる」インパクト十分だ。
日本のオケはこぢんまりとしてダメなんだ。ということを朝比奈隆はインタビューで語り、ゆえにオケを慣らすことを終生信条としていたが、ベルリン・フィルなど、さぞ分厚くでかい音が鳴っているのだろう。
それは、個々の技量の高さが、マスとして鳴り響く音の質にこれだけ影響するのか!と思い知らされるだけの演奏だ。
フィルハーモニアにしてこれなのだから、ランキングベストテンにはいるようなオケなら尚更だろう。
しかしなぁ、日本のオケが3、4回聞ける値段を考えると、躊躇してしまうよなぁ。
とはいえ、これからも年に1回くらいなら聴いてみたいかも、と思う演奏だった。