あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

人々の歌声による饗宴@都響定期演奏会

東京都交響楽団 第636回定期演奏会 

2006年12月15日(金)19:00(開場18:20)東京文化会館

曲目
ヘンデル:オラトリオ「メサイア

出演者
指揮:ジェイムズ・デプリースト
ソプラノ:天羽明惠
アルト:山下牧子
テノール:望月哲也
バリトン:三原剛
合唱:晋友会合唱団


 ハレルヤ、ハレルヤ♪でお馴染みの「ハレルヤコーラス」。全曲は知らなくてもこの部分だけは知ってるヒトも多いはず。このオラトリオ「メサイア」の第44曲のコーラスがこれです。

 オラトリオとは宗教的・道徳的な題材を台本にして書かれた声楽付きの音楽。
 オペラに似てるけど、違うのは、合唱が重要だってことと、演技とか振り付けはないってこと。
 で、台本が宗教的、道徳的内容なので主に教会で演奏することを目的にしているようです。


 でも、ややこしいのはヘンデルのオラトリオ「メサイア」は劇場で上演されることを目的にされていたフシがあるので、厳格な宗教音楽とは言えず、「高級な」娯楽と考えてもイイと思います。
 ちなみに、人気が落ち目だったヘンデルによる「起死回生の逆転満塁ホームラン」(by音楽評論家・福島恭章)がこのオラトリオ「メサイア」です。
 その、「メサイア」、英語で書けば「Messiah」と書きます。これを英語読みすると「メサイア」となるわけですが、綴りから判断するとおり「メシア(救世主)」と判断すると分かりやすいかも。
 
 でも、聖書読んでないから何を「メシア(救世主)」とするかって分からないんだよね。いや、聖書の通俗的な解説書を読めば、見当はつくんだけど、ヘンデルの「メサイア」の解説を読んでると聴き手が判断、みたいなことが書いてあったりするので尚更良く分からない。うーん…。もうちょっと聖書の概説本読まないと…。


 で、今日の演奏会の感想。

 客の入りはかなりよくて、文化会館シリーズの定期会員をする管理人はビックリ。
 客席はほとんど埋まっていました。2300人収容の東京文化会館大ホールが埋まるとなかなか迫力ある感じがしますね。第九もきっとそうなるのでしょう。サントリーホールと違って、熱気が伝わってくる割合が強い気がするなぁ…。印象論なんだけれど、きっとホールの構造や収容人数がこっちの方が300人多いって言うのも関係しているんだと思うな。

 やや早めのテンポできりりとした演奏、とでも言えばいいのかな。途中カットがあり(それでも1時間40分くらい)ながらも、ダレずに聴けたのはデプリーストのこの曲へのアプローチが非凡だった証拠だと思う。いわば非常に「見通しのよい」演奏。この曲の構成感が非常にハッキリと理解できた演奏でした。

 小編成の弦を中心に都響もよく健闘していたしね。
 過度に古楽的奏法を取り入れることもなく、過度に華々しく弾くわけでもなく、バロックの響きがしていたのは良かった。

 一番のポイントとなるのが合唱。関屋晋亡き後の晋友会合唱団ですが、文化会館のキャパを充分満たすだけの豊かな声量を持っていたのは良かった。やっぱりこの曲のカギを握るのは合唱の存在でしょう。
 そりゃ、日本人による英語の歌詞だからイギリスの合唱団に比べると遜色あるのは当然ですが、その点は目をつぶるにして、歌唱力という点で言えばとても満足できるモノでした。
 バリトンの望月哲也は新進気鋭の若手。非常に力のある技量ですが「メサイアには」ちょっと表情過剰だったかな、と言う気もします。
 逆に、その点抑制気味に歌っていたソプラノの天羽明惠が良かった。あえて表情を禁欲的に抑制することで、この曲に格調を与えていましたね。


 とにもかくにも、オーケストラばかり聴きがちな管理人にとって、今回のプログラム、非常に良かったです。以前に、プロコフィエフの「イワン雷帝」を聴いたときも書きましたが、やっぱり人間の声って言うのは素晴らしいですね。
 人間が道具を使わずに自分の体を楽器にして、体を最大限「響かせる」ことによって獲得される感動っていうのがあるんだなぁ、と。

 それが何百人という単位の合唱になったときの素晴らしさはホントに感動的。

 そんなことをつらつら思いつつ、家路につくまでに思いました。

ヘンデル:オラトリオ「メサイア

ヘンデル:オラトリオ「メサイア

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」

ヘンデル : オラトリオ<メサイア> - ハイライツ -

ヘンデル : オラトリオ<メサイア> - ハイライツ -

  • アーティスト: ボールト(エードリアン),マッケラー(ケネス),バンブリー(グレス),サザーランド(ジョーン),ウォード(デヴィッド),ロンドン交響合唱団,ヘンデル,ロンドン交響楽団,ストリンガー(アラン),マルコム(ジョージ),ダウンズ(ラルフ)
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1998/12/16
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログ (1件) を見る

メサイア」は名曲なのでCDも多いですね。
1980年代〜からの古楽器ブームによる演奏(上記2点)か、19世紀の巨匠風の演奏(下記1点)か好みで選べばいいのでは?

図書館にもあると思いますので、どっちも聴いてみて好みにあった方が良いかと。
ただし、注意しなくちゃいけないのは「必ず対訳歌詞」がついているモノにしないとダメです。ご注意を。