東京都交響楽団 第654回定期演奏会 Aシリーズ
会場:東京文化会館
指揮:エリアフ・インバル
管理人が聴く今年最後のコンサートは来季から首席指揮者になるインバルによるマーラー。例年、第九を聴きに行くんですが、今年は論文の進捗が分からなかったので、前売り買わずじまいで結局今になってしまいました。
インバルにとってマーラーは50代の頃にフランクフルト響との間で交響曲全集を出しているだけあって、得意な演目。だから結構楽しみなわけです。それはそうと、インバルも71歳。福田首相と同い年か。やっぱり第一線で活躍するヒトは若いな。人間社会性を失うと急速に老いるのかもしれない…。
ちなみにマーラーの交響曲第7番もベルティーニ/都響のマーラー・チクルスを聴いて以来。なので結構久しぶり。
一般的にはインバル人気高くて、チケットも完売。会場の東京文化会館も満席です。
やっぱり文化会館が満席になるとなかなか見た目も壮麗ですね。
全く個人的な感想なんだけど、インバルのマーラーは、マーラーの凸凹をそのまま凸凹に表現しようとする演奏だと思う(しかも多少デフォルメされて)。マーラーのスコアにはそれぞれのパートに細かく指示が書いてある。テンポの上げ下げとか、各パートごとにpfやらアクセントやら、まー、やたらと細かい。
インバルはそれを非常に忠実に再現しようとする。そうすると、もともとスコアにかかれていたマーラーの意図する凸凹感が非常にハッキリと現れて、マーラーの特徴である錯綜とした一面を認識させられる。そもそもマーラーの音楽には不安定性とか錯綜が構造とされている、と言えばいいのだろうか。それが第1、5楽章ではきわめて効果的に現れていた。
それと同時にインバルは非常に即物的な、感情に流されない演奏をする指揮者だとも思う。だから、第2~4楽章は結構淡泊な印象を受けた。去年、アルプス交響曲を聴いたときも思ったんだけど、そういった感情に弾き面れるところがないから情緒のダイナミズムが高揚していかないわけですよね。個人的にはこのあたりはもっとロマン的な要素がほしなー、っと思ったりするところ(特に2、4楽章)もあるんだけど、あっさりと流してしまう。
このあたり同じく凸凹感はあるけれどバーンスタインやテンシュテットとは違うように感じる。
そうはいっても、インバルはマーラーを完全に自分のものにしているから普通なら叙情性に欠けるような演奏に陥ってしまうのにもこれだけ聴かせてしまうのは、そーした乾いた感情みたいなのを剥出するのがうまいんだろう。そういうわけで、やはり第5楽章に入ると感動しましたよ。ええ。
都響も健闘。なかなかあれだけの演奏はできないと思う。よく練習したんだな、と思わせられる演奏でしたよ。オケの皆さんの苦労が忍ばれるほど、良く鳴っていた。文化会館なのにね。(管理人は文化会館好きですけど。音の善し悪しは別として。)
あーいった演奏を繰り返すときっとオケの合奏度が凄く上がるんじゃないかなぁ…なんて思ったし。マーラー指揮者を抱えるとそういうメリットはあるかもしれない。
来年はこのコンビでマーラーの千人の交響曲ですね。
できればサントリーで聴きたいんだけどなー。やっぱ文化会館にも良いオルガンがほしいね。
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チェコフィルの性能も相まって、叙情的なマーラー。
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ベルリン・フィルとのライヴ盤の方が厳しさが増えていていいし、なによりベルリン・フィル上手すぎ。
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100分かかります。とくに、終楽章が凄いことになっている。