あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京芸術劇場シリーズ『作曲家の肖像』 Vol.68 《シューマン》

東京芸術劇場シリーズ『作曲家の肖像』 Vol.68 《シューマン
2008年5月25日(日)14:00開演 東京芸術劇場
指揮:梅田俊明
ホルン*:笠松長久、西條貴人、和田博史、野見山和子
ピアノ**:イリーナ・メジューエワ
曲目

シューマン
コンチェルトシュテュック(4本のホルンと管弦楽のための)* ヘ長調 op.86
劇付随音楽『マンフレッド』序曲 op.115
序奏とアレグロ・アパッショナート ト長調 op.92**
交響曲第1番 変ロ長調 『春』 op.38

 久しぶりの作曲家の肖像シリーズ。
 なんといっても今回の聞き物は一曲目のコンチェルトシュテュックである。耳慣れない単語だけれど、早い話が4本のホルンのための協奏曲だと考えればいい。そして、4本のホルン(とりわけ第1、第2ホルン)が難しいため、なかなか演奏機会が少なくて、管理人も初めて聴く曲だった。前々から聴きたいなぁ…とは思っていたんだけどね。

 ただでさえホルンは高音がひっくり返りやすいのに、この曲はそんな高音がいきなり最初からバンバン出てくる。聴いている方もアクロバット状態(笑い)。けれど、都響首席の笠松氏を初めとして健闘。
 もっとも、今回、この曲を見越して、というのもあって、1階席の前列左翼に座席を買ったのでホルンが非常に良く聞こえたというのはあるかもしれない。3階席くらいになると、楽器の性格上、音がぼやけてしまうんじゃないだろうかとも思ってしまったが。

 メジューエワを招いてのアパッショナートは早い話、小規模なピアノ協奏曲と考えればいい。しかし、小さいながらもこの曲、なかなか良いのだ。規模が短いぶん、充実した響きというのかな、ピアノパートが良くできている。相変わらず、オケパートは「シューマン」らしい(←当たり前か)んだけれどね。
 メジューエワのピアノは、ロシアのピアニストってみんなこうなのかな、って思わせられた。ルガンスキーの時も思ったけど、正確無比なピアニズムなんだよな。悪い意味じゃないんだけどなんか機械仕掛けみたいな感じがする。でもなぁ、これだったらメジューエワ別に呼ばなくても良いんじゃないか?もっと日本人の若手でもシューマン上手く弾けるのはいると思うんだけどね。鈴木弘尚とか、かつてリサイタルを聴いたときはシューマンの詩情を上手く表現しつつ、それでいてロシアピアニズムの特徴とも言えるスケール感あるダイナミズムを持たせていたけれどなぁ。


 休憩挟んで、交響曲第1番は、まあ、1番ですよ、という曲。
 さして特徴がない演奏といえばいいのでしょうか。1番って難しい曲だと思う。シューマン交響曲のCDだと、管理人の個人的な好みはセルの交響曲全集なんだけれど、1番に限っていえばバレンボイムの演奏したCDが良い。曲に抑揚が必要と言えば良いんだろうか、そのまま演奏したらつまらない曲だと思う。そういえば、かつて朝比奈隆はインタビューでシューマンのオーケストラ曲は指揮者がアーティキュレーションのイメージを持ってなければいけないと言っていた。
 それでいうと、今回はそのどちらにも欠けていたと言えるんじゃないだろうか。今一歩かなぁ…と思ってしまった次第。

 来月のペンデレツキに期待しましょうか。
 希代の現代作曲家が自身のホルン協奏曲とメンデルスゾーンをどう料理するか、楽しみにしようじゃありませんか。

シューマン:交響曲全集

シューマン:交響曲全集

聴いてみたら意外といい演奏で驚いたバレンボイムシューマン
1番も良かったけれど、他の番号もなかなか良い線いっている。