山田一雄の第九を聴く
ビクターで昔CD販売されていながら、長い間廃盤になっていた山田一雄の第九の再発売。
山田は朝比奈と比べると4歳下なのだけれど、管理人がクラシックを本格的に聴き始める頃には他界してしまったので、その実演は分からずじまいだった。
そんな山田一雄のCDは朝比奈のそれと比べると極端に少ない。もともと録音に乗り気じゃなかったというのもあるし、一つのオケに長い間ポストを得て活動するということもなかったのが関係しているのだろう。もっとも、朝比奈と大阪フィルの54年間という関係が世界的に見ても類例がほとんど無い稀なケースなのだが…。
山田一雄の演奏による第九のCDは3種類あるが、コレはその中でももっとも古く、山田が音楽監督を務めた京都市交響楽団のよる1983年のライヴ録音である。
この他にも、1990年に新星日本交響楽団、1991年に札幌交響楽団と演奏したCDが存在はする(多分廃盤)。もっとも、札幌soとの演奏は山田一雄ベートーヴェンシリーズとして第1番を除いて全て収録されており、この指揮者のベートーヴェン解釈を考える際に非常に貴重だ。
その3種類の中で、個人的にはこの演奏が一番ノリに乗っていると思う。マイクが近いから生々しいっていうのもあるのかもしれないが、演奏的にも一番熱気を孕んでいて良いのだ。
この演奏を聴くと、日本人指揮者の中でも山田一雄はやはり情熱的な演奏をした指揮者なのだと感じる。曲の構成を重視するというよりもむしろ、その曲想に応じた自在な演奏が印象的なのだ。
かといって、日本のフルトヴェングラーといわれるほどに、録音を聴く限りではハチャメチャではない。(ハチャメチャというとフルトヴェングラー好きは怒りそうだ。でもハチャメチャだ。)
むしろ、グラモフォンと録音したバーンスタインの演奏くらいといえば良いんじゃないか。そう考えれば充分個性的ではあるが…。
朝比奈隆、山田一雄…。ベートーヴェンやブラームスでこの二人に続く演奏が出来る邦人指揮者って今は結構少ないんじゃないか、なんて思ったり。
飯守泰次郎が個人的には最右翼かも。あ、コバケンもいたか。