あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

北村朋幹の実力は?@響きの森クラシック・シリーズ Vol.29

2009年10月3日(土) 15:00開演@文京シビックホール
指揮=尾高 忠明  ピアノ=北村 朋幹
曲目=ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン交響曲第7番


 フレッシュ名曲コンサート自体はそこそこ聴くが、会場は今回初めての文京シビックホール。音響が心配であったが、いきなり結論から言えば「良くないが、悪くはない」というところだろうか。
 残響は約2.3秒(空席時)、約2.0秒(満席予測値)ということもあって、悪くないんだけれど、音がアタマ抜けていくというか、パンチに不足する感じだ。コレと同じような感覚は、トリフォニーホールのサイド側の席や、サントリーでも最後方に行くとこんな感じがする。残響の豊かさで言えば文化会館よりも遥かに良い。けど、文化会館はストレートに音の迫力が伝わって、あれくらいの熱演をしたら、それこそ打ちのめされるような感じになる。
 初めてだから、座ったところが悪いのかもしれない。それでも今回1階・後ブロックの前から2列目、やや左側という、他のホールではまず失敗の無い席をチョイスしたハズなんだが…。
 名演とホールの関係は難しいな。ほかにもある都内の自治体ホールだと目黒パーシモンホールは良かったな。建て付けは「ちゃっちい」けれど所沢市民文化センターMUSEも音に関して言えば結構良い。

 北村朋幹は現在高校生(3年生)だと思う。身長は恐らく170はない、華奢な印象の少年である。だが浜松国際ピアノコンクールにも出た俊英であるし、管理人の地元でもソロコンサートを開いている。ただし、今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。恐らく人前で披露するのは今回が初めてじゃないだろうか。
 それを考えたうえで感想を書くなら、実に堂々とした演奏だった。フレッシュ名曲コンサートにありがちな、ガチガチに緊張した…ということはなく、気迫は漲っていたが、決して気が張ってる種類のソレではない。もっとも、前回の読響のコンサートの時にも書いたが、4番的な詩情に不足するというところはあった。しかし、これは人生経験や演奏経験を積むことで解決されるだろう。
 アッチェランドのかけ方に随分思い切りの良さを感じ、それがやや一本調子にもなるが、それでいながら聴かせてしまうのはやはりしなやかな感性のなせる若さなのだろう。

 後半の7番は、リズム感を重視した演奏。それでいて尾高はまったく奇を衒うことなく、正攻法で音楽を作っていく。弦の刻みや、木管金管へのフレーズへの配慮が随所にあり、ややもすると埋没しがちなこれらの音が、なかなか鮮明に聞こえる。それでいながら、弦の人数を刈り込むことなく、1stヴァイオリンで8プルト(だった気がする)と、厚みのあるオケ編成であったこともあり、極めて充実した演奏をしていた。全曲を通じて反復はあり。
 終演後、指揮台から聴衆へ向かって尾高氏が言うには、サヴァリッシュ曰く7番を演奏したあとでアンコールをする国は日本だけだ。と言って、今回はコレで終わったが、管理人自身は未だに7番のあとにアンコールをされた経験はない。もっとも、小林研一郎ならダニーボーイでもやりそうだけど、そこはどうなんだろうか。

 全体的にホールの関係で中高音に伸びのある音ではなく、響きがきつめになりやすいホールだったような印象で、できればいつも行くホールでもう一回聴いてみたいと思う。   
 でも、久々の名曲で楽しかった。やっぱり名曲はときどき聴かないと、ね。
そういえば、来月はインバルで7番がある。果たしてどーなるか?