あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

やがては溶ける八ツ場ダム?

2日の新聞を読んでいたら、興味深い記事があった。

『八ッ場』上流に 水質中和ダム
 建設中止問題で全国から注目される八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)。だが、その上流にある珍しいダムの存在はあまり知られていない。治水や利水目的ではなく、草津温泉の廃水など強い酸性河川を中和するためのダムだ。しかも、八ッ場ダムに流れ込むことになる吾妻川全体の酸性水質は4割しか改善されていないという。飲み水として大丈夫なのか。 (前橋支局・中根政人)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2009110202000064.html

 なんでも吾妻川上流は酸性濃度が高いらしい。確かに、あのあたりは白根山を頂き、草津やら万座やら、酸性泉(万座は酸性硫黄泉)の温泉ばかりだもんな。だから、かつてはその酸性の強い水が川を流れるモノだから、鉄やコンクリートは溶けてしまい、鉄筋コンクリートの橋やダムは造れる余地はなかった。
 それが変化したのは、草津温泉の近くにある品木ダムと呼ばれるダムで、ここで毎日、石灰ミルクを投入することで、中和させて川に流しているらしい。(まさに理科の実験を素でやっている)

 ここで問題が指摘されているのは、

  • 吾妻川上流域で、中和されているのは全体の4割で、6割は酸性のままだと言うこと(特に万座川は強酸性河川らしい)
  • 中和されている4割も、24時間、石灰ミルクを投入することで中和しているので、酸性泉が出続ける限り(=温泉が涌いている限り)半永久的にこの作業を続けなければならない。
  • 石灰を混ぜて中和させるので、品木ダムはだんだん泥が堆積している。すでに7~8割ほど、ダムは泥で埋まっているらしい。だからこの堆積した泥を浚渫(しゅんせつ)するのだが、この泥の処分場の確保の問題がある。
  • この浚渫泥にヒ素が残存しているらしい。残存量は決して多くはないが、少なくもないそうだ。処分場のような形で、1か所に集めた場合、環境や人体に影響を与える恐れもある、という。


 記事の書き出しにもあるような、飲み水として大丈夫かどうか、というのはともかく、そんな状態なのに作って平気なのかなぁ…という感想。作ったけど、酸性河川のため、コンクリート溶けちゃいました、だと大変である。
 環境アセスメントが確立するはるか前に存在するダム計画だから、そのへんはいい加減だろう。最近一番酷い事例は、熊本県大蘇ダムだろう。30年間かけて600億円かけて作ったが、火山灰性の土壌のため、ダムで水をせき止めてもダム底から水がどんどん抜けていってしまい、副大臣自らが改修するくらいなら「別のダムを造った方が良い」といわれる始末。
 もっと、ジャーナリズムが詳しく調べて採り上げたら良いんじゃないか。それでも尚かつ、建設するメリットがあれば作ればいいし。メリットがなければ止めればいい。いずれにせよ、政治には「富の分配」と「決断」の側面から逃れられない。