あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

正攻法による英雄。

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第243回定期演奏会
創立35周年記念ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ第3回

ベートーヴェン / 「レオノーレ」序曲 第3番 作品72a
ベートーヴェン / 交響曲 第1番 ハ長調 作品21
ベートーヴェン / 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
交響曲はマルケヴィチ版による)

指揮:飯守泰次郎


 今週は意外と仕事はあったけれど、なるべく前倒しの日々でコレに備える(苦笑)。チケットセンターに連絡を入れた時点で、結構座席が埋まっていたので、奮発してS席にしてみた。

 ひとことで言うと、今回の演奏も、偉大なるオーソドックスということか。何ら斬新な解釈とかはなくて、ひたすら正攻法のベートーヴェンである。しかし、その正攻法のベートーヴェンが、ともかく感動的であったのは、飯守泰次郎の非凡さだろう。前回聴いたのはインバルの英雄だけれど、この時は第1、 2楽章の求心力が印象的であった。けれど、今回は安心して身を任せていられる。インバルの時に感じた、緊張感のようなモノとは違い、力を解放することによって得られる「英雄」のスケール感があらわれた演奏だった。

 もっとも、飯守の指揮は聴いたことがあれば分かるが、テンポが遅くて、スケール雄大といった類(一時期のクレンペラーや朝比奈のように)のモノではない。ただ、弦をしっかりならして和声を構成していくその手法は、なんだか芯があるのだか無いのだか分からないような演奏とは違い、ドイツ系の作曲家に対する相性の良さを示しているとおもう。

 毎度のコトながら、ボウイングの指示はマルケヴィチ版ゆえになんだろうなー。と思う場面はしばしばあった。ともあれ、弦のアンサンブルはもっと精密であって欲しいと思う瞬間はあったけどね。


 そんなこんなでしたが、この手のタイプの演奏で聴けて良かったなー、と帰り道でつくづく思える演奏はそんなに多くないから、愉しめました。