あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

フランス・ブリュッヘン プロデュース ベートーヴェン・プロジェクト 第2回

2011年2月11日@すみだトリフォニーホール

ベートーヴェン交響曲第4番 変ロ長調 op.60
ベートーヴェン交響曲第5番 ハ短調『運命』 op.67

フランス・ブリュッヘン指揮
管弦楽新日本フィルハーモニー交響楽団


 この日は関東は朝から雪の舞う「この冬一番の寒さ」だった。それにも関わらず、錦糸町まで出かける。当日券だったら絶対行かないな(苦笑)。前回の1〜3番は1階席も中央真ん中で聴いたけれど、今回は3階席前方中央だ。
 トリフォニーホールって3階席は実質5階くらいの高さなんだよな。そして、座席自体が凄い勾配。アルプススタンドみたいだ(ちょっと違う?)。ホールの係員のヒトがわざわざ「前のめりになると後ろの方が見えないので背もたれに寄り掛かって聴いてください」なんて注意してまわるくらいだし。


 今回も前回と同じ様なの編成10・10(8?)・6・4・3だったかな。ちょっと記憶が曖昧。
 まず結論から言えば、前回(1、2、3番)よりも今回の方が上手くいっていた。いろいろ好き勝手にやっている箇所は後退しているが、ストレートに表現したのが成功していると思う。印象としてはミケランジェロの手によるルネサンス期を代表する彫刻であるダヴィデ像を夢想させる、引き締まった筋肉による均整の取れた、そんな演奏である。

 4番はキビキビとしたテンポにダイナミズムもメリハリがついて素晴らしい。
 ただ、18世紀オーケストラとのCDに比べるとテンポが大分常識的になっているようにも思う。ただ、1、2、4番はアンサンブルをもう少しこだわった方が良い。多分、そんなにブリュッヘンはこだわってない。まあ、リコーダー奏者出身と言うのもあるんだろうな。面白かったのは今回も第一楽章最後の和音はディミヌエンドさせていたけれど、なんでだろうね。

 実はそれと同じことは5番の第一楽章の最後でも言えた。もっとも運命の動機を野暮ったくしないのはピリオド奏法らしいといえばらしいのだが、ブリュッヘンの音楽作りが鋭角的なために、最近の若手にありがちな「軽めな」「迫力不足の」運命動機にならないのは素晴らしい。
 これも4番と共通なのだが、弦の人数を刈り込んでいるために、木管金管の掛け合いが非常にクリアに聞こえてくる。もっとも、これは弦を必然的に減らせばそうなるし、例えば弦の人数が少ないワルター/コロンビア響の演奏なんかでも同じコトは言える。ともあれ、対旋律の爽やかな登場は手垢にまみれたベートーヴェン像を再び蘇らせるような発見である。
 5番終楽章もテンポは颯爽としてる。この弦の人数だと迫力不足になりそうだが、あまり小細工をしないために推進力があって、それが迫力不足に陥るのを防いでいる。東条碩夫氏も自身のblogで書いているが展開部第3楽章への持っていき方など、この曲を自家薬籠中にしていないと出来ない技である。

 ともあれ、フルトヴェングラークレンペラー、朝比奈なんかとは方向性を反対にする演奏であったが、このスタイルでの一つの素晴らしい解答例とも言える演奏だった。

ベートーヴェン : 交響曲第4番変ロ長調&第6番

ベートーヴェン : 交響曲第4番変ロ長調&第6番

ベートーヴェン : 交響曲第5番ハ短調 「運命」

ベートーヴェン : 交響曲第5番ハ短調 「運命」