ジュニア 日本の歴史 6
- 作者: 大庭邦彦 聖徳大学教授,長志珠絵 神戸大学教授,小林知子 福岡教育大学准教授
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/04/18
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
Amazonレビューでボロクソに言われているが、目くじらを立てるような記述はない。サブタイトルのように「大日本帝国の時代」は1868年の五箇条の誓文から1945年9月2日の降伏文書署名で終わりを迎える。その意味で大日本帝国がなぜ破局的な終わり方をしたのかという視点からこの時代を捉えれば、このような記述になるのはむしろ当然であろう。(それが気に入らないヒトがいるのは確かだが、逆に、大日本帝国が彼らの想像する立派な国家であれば1945年8月15日の結末は迎えることなく済んだのである。)
もっとも、文明開化の章では人々の社会史・生活史にフォーカスが当たっていて、江戸時代の対比と連続性を考えさる内容に、非常に興味深いのであるが、その後はわりと「ありきたり」な政治史と外交史・対外政策史になっているため、わざわざ新しく本を編む意味があったのかなぁ…という気もしないではない。
その観点からすれば加藤陽子『それでも日本人は戦争を選んだ』やNHKの『日本人はなぜ戦争へ向かったのか』シリーズ(コレは映像だが)などの方が大いに参考になる。
ともあれ、東アジアでアジア太平洋戦争はどのように捉えられているかという視点が盛り込まれているのは重要だろう。相変わらず、いろいろな資料をカラーで載せているのは、資料集や博物館に行ったときのような面白さがあって良い。
繰り返しになるが、「司馬史観」よりも右側の向こうへ行ってしまった人達や「歴史は科学でなく物語だ」と仰る方にはストレスが溜まるのでオススメしない。そのような方はアカデミズムの世界の歴史ではなく、小説やゲームの世界に惑溺された方が精神衛生上よろしいと思われるが。