あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

都響スペシャル「第九」(12/24)

2012年12月24日(月)14:00開演(13:20開場)

場所:東京芸術劇場


指揮:カール=ハインツ・シュテフェンス
ソプラノ:澤畑恵美
メゾソプラノ:竹本節子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:二期会合唱団

曲目

ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第3番 
ベートーヴェン交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」


 84億円の費用を掛けて改修した東京芸術劇場でようやくコンサートを聴いた。曲は都響の第九だ。
 個人的には池袋駅前という立地にも関わらず、響きの余り良くない文化会館の方が好きだった。というよりも、芸術劇場の方がずっと新しいにも関わらず、
1階から最上階まで伸びる長いエスカレーターが毎回危なっかしい。
座席のクッションが悪くて、1時間以上座りっぱなしだと、痛くなる。
中低音の響きが悪くて、なんだか痩せた音が聞こえてくる。
というマイナス要因が余り行く気を削がれてきた。

 しかし、改修によって、それらはかなり改善されている。特に音響面では顕著だ。反響板の改善と、大理石の下に木のリブが設置されたことから、随分と中低音に厚みのある響きを感じることが出来る。
 今回の第九でもファゴットコンバスがずっしりと手応えのある音を2階席まで届けていた。今までにはなかった事だ。

 指揮者のシュテフェンスはベルリン・フィルで首席クラリネット奏者を勤め、2008年に指揮者になった。もっとも、それ以前から指揮者や芸術監督としての活動もあったので、満を持して、というところでもあるのだろう。

 今回はプログラムをよく読まないで聴いていたので、よく木管を歌わせる指揮者だなぁ…くらいに思っていたが、やはりそういうわけか。

 演奏そのものはきわめてレオノーレも含めて、極めてオーソドックスな演奏だった。芸術家タイプではなくて、職人タイプとでもいうのだろうか。オケのプレイヤーは演奏しやすい指揮をしている。もちろんそれは棒のテクニックに限らない。楽器がよく鳴る音で、走者が気持ちよく弾ける・吹ける音を要求しながら、奇を衒ったところが全くない。
 特に、第3楽章の木管の歌わせ方は絶品だ。CDで聴くワルター以上に木管の同士の掛け合いが美しい。反対に、そこまで弦にはこだわりがない様子で、普段の都響ならもっと弾けるのになぁ…と思ってしまった。

 都響の第九は例年、合唱がプロだから聴いていて安心できる。今年は例年通り、二期会合唱団だ。市民が歌う第九も「第九」の意味合いからすればあるべき姿なのだけれど、やはり人間のカラダそのものを楽器として歌うことが出来る声楽家たちの歌声の迫力は聴くものを圧倒させる。

 もっとも、喉の調子をベストにすべく、合唱団とソリストを3楽章の前に入れていたけれど、やはり頭から居た方が曲がぶつ切りにならなくてイイと思う。去年のスクロヴァチェフスキ/N響の第九みたいに、4楽章でソリストが入ってくると言うのもアリだとは思うが。