あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

晩年の演奏が嫌いな人にもオススメ

校訂者ノヴァークも朝比奈の演奏には満足していたというだけあってブルックナー演奏には定評のあった朝比奈であったが、この0番も充実の演奏である。(当時の)都響の演奏技術も鑑賞を妨げないレベルにあり、安心して聴くことができる。初期の作品群である第0番はスクロヴァチェフスキのようにスケールをあまり大きくせず、凝縮した響きを志向する解釈もあるが、朝比奈のアプローチは後期の作品群と同じように、重心の低いピラミッド型の重量感ある音・スケールの大きさが特徴である。
朝比奈自身も演奏当時はまだ70代であったこともあり、晩年の、時には弛緩した演奏にはならず、曲の隅々にまで朝比奈の意思が浸透しているといった印象だ。これは全曲を通じての構成感にもつながり、充分説得力のある音楽を展開している。この演奏は少なくとも第0番に対する「単なる試作」的なイメージを払拭するには充分だろう。
残念な点を一つあげるとすれば、それはダイナミクスレンジの幅が狭く、曲が盛り上がるところで音がやや濁るところであるが、1982年のライブ録音であることを考えるとやむを得ないのかもしれない。