あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

芸術に、ではなくて社会に奉仕するオーケストラ

 それとは別に…。
 さて、都響事務局からこんなお知らせがあった。

ジェイムズ・デプリーストは2005 年4 月に東京都交響楽団の常任指揮者に就任し、当楽団の多大なる音楽的発展と、「都響エストロ・ビジット」等のアウトリーチ活動によるクラシック音楽の普及に貢献しています。この度は3 ヵ年の任期満了に伴い、2008 年3 月31 日をもって退任いたします。

エリアフ・インバルは1995 年〜 2000 年に特別客演指揮者として在任、小泉和裕は1995 年〜98 年首席指揮者、98 年からは首席客演指揮者に就任し、ともに当楽団との親密な関係の中で数々の名演をのこしてきました。

 うーん…。
 普通、3年の任期1期だけってことはなくて、2期6年とか3期9年とかなので、今回のデプリーストのようなケースは個人的には珍しいし、勿体ないなぁ…と思った。
 『のだめ』効果もあって、デプリーストの存在が国内においてメジャーになり、多分、国内オケの常任指揮者の中では一番有名な指揮者であったから、そーした知名度を充分生かすだけの余地があったように思う。
 更にいえば、アメリカの指揮者だけあって、「社会の中のオーケストラ」という認識が今までのどの指揮者よりもあったと思う。ヨーロッパのように文化活動に公的支援が期待できないアメリカや日本においては、社会がオーケストラを支えるような仕組みにする他はなく、その点、アメリカで優れた手腕を発揮していたデプリーストは日本のオーケストラと事情に適合していたと言える。

 芸術的な観点からいえば、昨シーズンのオラトリオ「イワン雷帝」(プロコフィエフ)のような意欲的なプログラムや、今年4月のマーラー交響曲第5番のように海外の一流オーケストラにも匹敵するような名演を残すなど、芸術性も高く、都響との相性も良かった。
 なので、1期限り…というのは何とも残念な話であるのだ。

 個人的なところで言えば、管理人自身が次期常任指揮者のインバルに対して期待してない、という点も大きい。
 デンオンから出ているマーラー交響曲全集も感心しないし、昨シーズン聴いたアルプス交響曲も曲自体が良くできているから良いものの、演奏としては表面的であった。
 確かに世界的な指揮者であり、ビッグネームなのだが、他のサイトを見る限り、ネームヴァリューに比例して出演料も高いようだし、だったらその予算を楽団員を増やすとか協奏曲をプログラムに積極的に盛り込んでソリストを充実させるとか、もっと有意義なことに廻せばいい。
 都響定期会員の管理人に言わせてみれば都響にネームヴァリューは求めておらず、ネームヴァリューを求めるのであれば、最初からN響や東京フィルの定期会員になっている。(事実、一時期東京フィルの定期会員にもなっていた)
 だから、都響の事務局というか運営を担当するスタッフが都響に求められていることを余り理解できていないのかな、と言う気がする。
 インバルにデプリーストと同様な、(いわゆる)社会活動が出来るとは思えないし、1年間で3回も来日して八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をするとも思えない。ベルティーニ音楽監督に招いたときのように、正直、「名ばかり」の常任にならないか心配である。

 もっとも、デプリースト自身の健康問題であれば、どーしようも無いのだが…。