あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

【メモ】国際関係とミサイル・後編

 グダグダなメモの後半部分。

 じゃあ、その目的ってどーなのよ?って事になるけど、これは国内要因だ、とみる識者の見解に管理人は説得力を一番感じる。日本の経験になぞられれば「國軆護持」こそが目標ではないのか。だから、資源も経済力もない北朝鮮が国力(=他国への影響力)を高めるために、軍事力を増強することが一番手っ取り早い手段と言うことになる。
 さらに、世界政府・世界警察が存在しない国際関係上では基本的に紛争の解決は国家間の交渉によって解決されるのが一般的である、ということも事実として認めざるを得ない。

 そいでもって、今回の話。

 そーすると世界政府が存在しない国際関係は先手必勝、弱肉強食の世界である、と言い切れそうなモノだけれど、しかし、必ずしもそうではない。世界全体を統治する存在が無い中でも、実は国家同士は最低限のルールを守っているとも言える。
 例えば、「相手国から侵略されない限り戦争は出来ない」という暗黙のルールが近代以降、徐々に成立する。
 さらに「戦争があくまでも国際紛争解決の手段」というクラウゼヴィッツ流の解釈に乗っかってしまえば、「紛争の原因」を巡って局地的に戦争するわけで、相手国そのものの存在を全否定するわけではないし、占領して属国化しようとするモノでもない。そうなってくると、戦争は戦闘員同士で行われるモノだ、と考えられるようになり更に言えば、民間人には殺戮の対象としない、等の取り決めが出来てくる。

 こーした国家間の共通認識がどーして出来てくるかというと、単純に「その方が自分たちにとっても都合が良いから」というところに帰結する。現実問題として全ての戦争に連戦連勝、というのは無理がある。暗黙のルールが守られる状況下で、力の均衡による平和が達成されるとしたら、それがたとえ「束の間の平和」であったとしても「永遠の戦争状態」よりは遙かにマシだ、と考えるのも無理からぬところだろう。
 このような国家の共通認識に注目した人物にH.グロティウスがいる。グロティウス以降、人々はそうした国家の暗黙のルールをいわば「暗黙化させるのではなく」もう少しハッキリとしたルールにしようと考えた。それが国際法になるのだと思う。

 ただし、国際法は突き詰めてしまえば、破ったところで世界政府による罰則が無いため、その拘束力は国内法一般と比較すると弱いかもしれない。しかし、国際法は先に挙げた経緯で成立したモノだから「守ることで自分もトクするルール」のハズである。従って、強制力が働かないにも関わらず、各国は国際法を遵守することになるのである。

 従って「やったもん(=破ったもん)勝ちじゃね?」って指摘が出そうだけれど、世界各国は必ずしも「やったもん」にならない。国際法を無視することで今後被るであろう代償を考慮すると、得策ではない、と判断するからだ。(もちろん、道義的に守るべきだ、とはなるんだけれど、ここで言いたいのは損得勘定から守る方がベターだ、というチョイスになる、という現実的な判断なのだ、ということ)

 しかし、気をつけなければならないのが「ある国家において達成されるべき政策」は国によってバラバラだと言うことだ。その達成されるべき政策のために国際関係上、採る(あるいは採ろうとする)政策が「外交政策」なのである。
 ただ、なぜ「気をつけなければならない」と書いたかと言えば、それは通常、まっとうな民主主義国家(R.ダールで言うところの「ポリアーキー」に当たるような国家)であれば、外交政策の目標とは国民の多数が支持する目標であろう。従って、究極的には外交政策を実行し、それが達成された場合得られる利益は国民が享受することになる。(この延長線上に「デモクラティック・ピース論」がある)

 例を挙げれば日本国政府平和憲法を前提とした国際協調主義・平和外交は、究極の目標として世界の非核化や軍事力の削減であろう。そうなった場合、核の脅威や軍事力の脅威から解放される「利益」を享受するのは他ならない、日本国民である。

 これが通用しないケースというのがある。つまり「外交政策上の目標達成=国民の利益」にならない場合というのが存在する。回りくどい言い方をしたが、つまるところ独裁国家である。独裁国家の場合、外交政策上の目標が国民の利益とは限らず、むしろ支配者層の利益に設定する場合があるので、民主主義国家の国民の目からすると、その国の行動は奇異に映る場合がある。(今回の場合のように)
 そして、このような国の場合は国際法を遵守しなかったとして、国家(この場合は国民とある意味同義)に被るであろう不利益があったとしても(その国においては)大した影響をもたらさない。従って、国際法を遵守する、というインセンティブが弱まることになる。

 このようにみた場合、北朝鮮のミサイル発射もある程度、論理的な説明が可能であることが分かる。
 問題は、北朝鮮外交政策上の目的はどこにあるのか、というところの判断だ。しかし、これは憶測したところでしょうがないので、本人(北朝鮮)に聞くしかないコトになる。
 だとすると、相手の目的が奈辺にあるのか、ということを知るためには、現在まかりなりにも存在しているツールを活用しようと努めるのが適当だろう。結局のところ、国際関係はこうした世界であるために、単純に「悔しい」とか「気持ちいい」というような感情で外交政策を方向付けすると、その帰結として、残念ながら日本の国益が一番損なわれることになるだろうコトはいうまでもない。というやや展望のない話になってくる。

 取り敢えず今のところそんな感じ。