あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

梅雨明けの田園

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第241回定期演奏会
創立35周年記念ベートーヴェン交響曲全曲シリーズ第2回

日時 2010年7月15日
場所 東京オペラシティ コンサートホール
出演 指揮:飯守泰次郎
曲目 ベートーヴェン / 「エグモント」序曲 作品84
ベートーヴェン / 交響曲 第8番 ヘ長調 作品93(マルケヴィチ版)
ベートーヴェン / 交響曲 第6番 ヘ長調 作品68 「田園」(マルケヴィチ版)

 ベートーヴェン・チクルスの第二弾は八番と田園の組み合わせとなる。特に八番は演奏機会が非常に少ないから楽しみだ。
 今日は、梅雨明けか?と思わせるような夏空が広がっていた。7月は都響の定期公演がないので、3年連続でシティ・フィルを聴いているのだけれど、7月は奮発して食べる鰻屋閉店していたために、結局、近くのファミレスで済ませることになった。ガッカリ。


 さて、今回はどちらも偶数番号の交響曲となる。
 ベートーヴェン交響曲は奇数番号が男性的で偶数番号は女性的とも表現される。運命のようなイメージでいると、明るく穏やかな曲に初めて聴いたときは驚いたモンだ。

 エグモントから充実した響きだ。木管が非常に効果的だ。序曲とは言え、飯守は全く手を抜くことがない。

 8番は重量感溢れる演奏。こぢんまりとした曲に仕上げることはない。最近の傾向とは違って、大きな呼吸をするようなテンポで悠然と進んでいく。この曲も、しっかりと演奏すれば曲の構造として非常な盛り上がりを魅せることが出来るのだ、という指揮者の気迫が伝わってくるようだ。
 第一楽章の弦の刻みが反復しながら曲が昂揚していく展開部で、ティンパニがしっかりとした音を聞かせる。それは終楽章も同様で、全体的にバスのをしっかりと響かせるために、響きは充実し、インテンポにも関わらず、演奏は熱気を帯びてくる。本当に素晴らしい。オケも普段は演奏しない曲なので、フレッシュな気持ちで真剣に演奏しているのがプラスに作用したのだろう。

 それに比べると、田園は第一楽章で若干間延びしてしまった。おそらくは、第一楽章冒頭のヴィオラとチェロのユニゾンが弱かったところがまずかったのだろうか。大らかに進行するのは良いのだが、若干流れが悪くなってしまったかのような印象を受けた。ともあれ、せかせかとしたところは皆無で、自然溢れる田園とはまさにこのテンポなのだ、という印象だ。
 2楽章からはだんだんと良くなっていき、4楽章の「雷雨」と、5楽章の「嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」は出色の出来。特に終楽章のコーダの高揚感は、本当に人々が「喜ばしく感謝に満ちあふれた」ようすがホール全体に充満し、感動的だった。それゆえに、ホルンが所々、さらに最後にまでひっくり返ったのは残念でならない。

 とはいえ、管理人としては非常に楽しめた演奏会だった。