あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

政治を信用して下さいの落とし穴〜「共謀罪」再考

 今回も固い内容だと思うかもしれないけれど、大学院で勉強している以上「無しで済ませる」わけにはいかないだろうと思うので、許して下さいね。
 というのも、明日・10日以降は与党の強行採決の可能性もあり、以前ならこんな法律成立するハズがない!とタカをくくれたけれど、今回は本当に成立しそうで本当に危ない。


 土壇場で成立しそうになって、ようやく新聞などでページを割きだしたが、まだテレビの方は動きが鈍いと思う。自民党からクレームが付くのを恐れているのか知らないが、ここで萎縮していたら報道の自由なんて存在しなくなるのは時間の問題ではないだろうか?


 共謀罪の概要については、以下のホームページを参考にして下さい。
 遅まきながら、ようやく日弁連共謀罪に対するホームページに力を入れてきたようです。
共謀罪(キョウボウザイ)ってなんだ?
日本弁護士連合会:HOME


 さて、前回(id:takashi1982:20060503)、管理人が共謀罪について懸念を示した理由は記事を読んでもらえば分かるのだけれど、次のとおり。
・一度制定された法律は、独自に解釈・運用されるので、権力者の恣意的な運用を防げない。
共謀罪が制定されたところで組織犯罪を100%防止することは出来ない。
・にもかかわらず、一般の人たちの思想の自由を侵害する恐れがある。


 ということ。
 今日はさらに付け加えて…。
 岩波書店から出ている雑誌『世界』の最新号(6月号)に山口二郎・北大教授と辻元清美社民党衆議院議員の対談が掲載されていた。
 辻元自身の好き嫌いはあるだろうけれど、ここで管理人が注目したいのは、「小泉チルドレン」と呼ばれる多くの新人議員を中心に、「憲法は国民が国家を拘束する『縛り』である」という基本原則すら知らないという事実である。
 彼らの多くは憲法は国家が国民を拘束するモノだと考えているらしい。
 オイオイ、ちょっと待て。これは非常にまずいのではないか?


 なぜ管理人が共謀罪に懐疑的かと言えば、成立させようとしている自民党国会議員の多くが、そもそも知識を欠いたまま、何の疑問も持たずに賛成していくだろうということだ。
 昔から「生兵法はケガの元」という。無知な人間に権限を与えると暴走しかねない。
 しかも、国民の思想の自由という、基本的人権の中でも最も尊重されなければならない部分に対して制限を加えようとするこの法律が、きちんとした議論も行われずに成立しようとしているという問題がある。
 
保坂展人のどこどこ日記

 この法案に反対している保坂展人社民党衆議院議員の日記に詳しいのだが、自民党の進め方は非常に乱暴だ。
 彼らは思想の自由というのが人間の自由権の中でもまさに中心を占めるモノで、これを保証するためにどれだけの人命が失われたか、という世界の歴史を全く顧みない。
 日頃から「歴史を重んじ」というクセに、こう言うときは歴史に無知になるその厚かましさに辟易しそうだ。


 国旗国歌法が制定された時、当時の官房長官であった野中広務は「個人に強制するようなことはない」と公式に発言した。
 リベラルの側はこの発言をもって、思想の自由が侵されない最低限の言質としたのだが、現在、東京都の教育現場では国歌を歌わない教員は処分の対象となり、最悪の場合免職、そうでなくても研修センターでの研修を義務づけられたりする。
 ちなみに、法律違反をしたわけではないのに「研修センター」で「再教育」をする国は
ほとんど存在しない。あるのは中国と北朝鮮くらいだという。


 反戦ビラをまいたヒト「だけ」を公安は逮捕し、国歌を歌わない教員を研修所に送り、「教育勅語に愛着を持つ」議員によって教育基本法は改正されようとする中で、共謀罪
 これで政府を信用して下さい。といっても無理があるのではないだろうか。


 ちなみに「政治を信用して下さい」と言うのであれば、はじめから憲法は存在しない。権力を持った人間は、その絶大なる力の誘惑に負けてしまうからこそ、憲法という「大枠」をはめて逸脱を防ぐのである。
 だとすれば、同じく逸脱を防ぐために、共謀罪という権力の濫用を起こしやすい法律は成立させない方が無難だろう。