あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

シューカツはいつからいつまで?

今朝、新聞を読んでいたら経団連は来年度の就活期間を遅らせる紳士協定を結ぶということらしい。

クローズアップ2011:説明会「2カ月遅く」経団連指針 就職戦線、変わりなし?(毎日新聞

 大学新卒者の就職活動が早期・長期化していることへの対応策として、日本経団連は12日、会社説明会など新卒採用に関する「広報活動」の開始時期を2013年春入社の学生から従来より2カ月遅らせ、「3年生の12月以降」とする指針を決める予定だ。ただし、内定につながる面接や試験などの「選考活動」の開始時期は、現状の「4年生の4月以降」を事実上追認するなど、「学生を学業に集中させる」という本来の狙いを実現するには踏み込み不足。企業、大学双方から不満の声も上がる。

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110112ddn003020024000c.html



 東京大学大学院で教育社会学が専門の本田由紀の論文「「シューカツ」という理不尽」(『UP 8月号』(東京大学出版会)所収)によると、リーマンショック後の不況によって企業は新規採用を減らしているが、反対に大学生の数は(過去に比べると)増加しており、現在の就職活動をする学生を取り巻く環境は圧倒的に企業に優位な状況である。
 そうすると企業はどのような行動を取るかというと、少しでも優秀な学生を確保するために就職活動をする時期を早め、なかなか内定を出さず学生を拘束する傾向が高まっているという。また、長期化する就職活動によって学生の忍耐力であるとか精神力を見極めようとする傾向もあるようだ。

 そうした企業が1社でも現れると、他の企業もそれに続くために結局、就職活動そのものが早期から始まり、長期に及ぶことになる。これは企業単体から見れば部分最適の結果であるかもしれないが、全体で見ると本来学業や海外留学などの学生時代に経験すべきことをおざなりにしてしまい、結局のトコロ、入社後に「今ひとつ使えない新入社員」を生むことにつながってくる。
 つまり、部分最適全体最適を損なっているという典型だろう。

 ただ、今回の紳士協定はあくまでも経団連の企業であるから、そもそも外資系企業はそうした申し合わせなど無視する可能性が極めて高いだろうし、学生からは「企業を良く見極められない」という不満も出ているようだ。(個人的には長期にわたってシューカツしたところで見極められるようなもんじゃないと思うのだが)


 個人的にはシューカツは大学3年の春休み期間と4年の夏休み期間に限定するのが良いとは思う。それで日本だけに存在する新卒採用信仰ともいうべき「風土病」を一掃し、雇用のミスマッチが生じた場合はどんどん転職が出来るような状況に雇用を流動化させる時代に来ていると思う。(既に大卒者の3割は 5年以内に転職する状況だし)


 部分最適全体最適を損なうというのは典型的な市場の失敗の例であるから、そこには何らかの是正が図られるべきだろうから、多少は前進だろうな。