あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

札幌交響楽団 東京公演2024

指揮 / マティアス・バーメルト(首席指揮者)

テノール / イアン・ボストリッジ

ホルン / アレッシオ・アレグリーニ

 

札幌交響楽団、東京公演を1年ぶりに聴けた。
ブリテンのセレナードをボストリッジで。後半はブルックナーの6番。奇しくも先週の大阪フィルと同じメインプログラムである。
なんだけれど、同じ曲とは思ない、演奏の妙を感じる演奏だ。札響とバーメルトがブルックナーをやるとこうなるよね、という印象。

まずはブリテンから。
ブリテンボストリッジ独唱とくれば成功は確約ではないか?CDほしいなぁ。ちょっとサントリー2階センターは聞こえるけどもっと近くで聴きたいんだよなぁ。チケット買う時に失敗したなと思った。ブルックナーだけ意識があった。

ブルックナーは大阪フィルとは対照的にウィーン風というか、去年のシューベルトのときみたいに透明感ある響きと絶妙なるバランス感覚だった。
音楽は横に横に。バスのピチカートや木管が活かされ初めて聴く部分がたくさんあった。
それでもって、仕上がりがマイルドなので、言ってしまえば日本で受容されてきたブルックナーっぽくはない。このあたりが自分なりのブルックナーはかくあるべし、的なスタイルが(多分それは朝比奈隆以来の)確立している大阪フィルとの違いなんだろうな、と思った。オケの個性とは面白い。
客席は9割近くの入り。

バーメルトの退任ということもありホール内は暖かな雰囲気が終演後満たされていた。
地方オケの東京公演は準備が大変だと察せられるが、兎角、多くの聴衆が今日、ホールで札響の音楽を聴けたことはよかった。出口では恒例、ホクレンさんのお土産あり。
来年は伊福部だという。楽しみ!

 

大阪フィル 第56回東京定期演奏会

指揮:尾高忠明
武満徹/オーケストラのための「波の盆」
ブルックナー交響曲 第6番

 

大阪フィル東京公演(サントリーホール)を聴く。
武満「波の盆」、ブルックナー6番だった。
武満は初めて聴いたが、良い曲。こういう曲の方が聞いていて分かる。自分には世評が高い曲の方がわからない(苦笑)。
ブルックナーは1、4楽章は快速テンポ。凸凹感というよりバランスの良さが光っていた。

なんだか聴いていてエルガー的な響きだな、とも。
たぶん、尾高の音づくりがバランスとりながらミスなく、音楽的に正解な演奏だと思った。大阪フィルがとても上手い。自分の記憶史上最高である。
贅沢いえばもうちょい厚みがあるとイイなぁ。なんて。

 

都響 第993回定期演奏会

指揮/ジョン・アダムズ
弦楽四重奏エス弦楽四重奏団*
ジョン・アダムズ:アイ・スティル・ダンス(2019)[日本初演]
ジョン・アダムズ:アブソリュート・ジェスト(2011)*
ジョン・アダムズ:ハルモニーレーレ(1984-85)

 

都響定期(東京文化会館)を聴いた。

「これは、事件だ!」とあるように確かに話題性抜群であるし、こういう意欲的な取り組みは今の都響っぽいので良いと思う。

そういえば、現代作曲家シリーズはどうなったのか?前後半両方とも、と言うわけにはいかないかもしれないがどちらか半分はそういう曲を紹介する月があっても良い。展覧会の絵ばっかりやっている場合ではない。(定演でほかの曲を差し置いて度々取り上げるほどでもないように思う)

来場してみて“いつもと客層が違うな”と言う感じがした。ジョン・アダムズアメリカでの立ち位置ってどのあたりなんだろうか。久石譲坂本龍一くらいの知名度なのかな。
ミニマルミュージックの要素あり、現在進行形の作曲家だけれど、聞きやすい部分もあって曲は面白かったので、後でまとまって文字にしてみたい。(できるのか?)

 

 

都響スペシャル「第九」

[出演]
指揮/アラン・ギルバート
ソプラノ/クリスティーナ・ニルソン
メゾソプラノ/リナート・シャハム
テノール/ミカエル・ヴェイニウス
バス/モリス・ロビンソン
合唱/新国立劇場合唱団
[曲目]
ベートーヴェン交響曲第9番 ニ短調 op.125《合唱付》

 都響第九公演を聴く。今年は珍しくすみだトリフォニーH。ひょっとすると都響がこのホールで第九をするのはコレが最初で最後かも!?文化会館はバレエの様子。
 2階中央ど真ん中の前列で聴けたこともあり、非常に良い音を堪能できた。音が拡散しないから迫力もあり良かったのではないか?

 アラン・ギルバートは中低音を豊かに響かせながら中速なテンポでグイグイ進んでいく。ブライトコプフ旧版使用なのもオーソドックスでよい感じ。音が痩せていることもなく、でもスタイリッシュに仕上げていく、というのが全体的な印象か。

 印象的だったところは座席の関係も大いにあるのだろうけれど、第4楽章で歓喜の歌に繋がる最初のチェロのppが初めて聴くくらいの繊細さだったのと、トロンボーンの旋律が浮かび上がっていて立体的な響きだった。今回、独唱陣は全員が外国人だけれど、モリス・ロビンソンが質・声量,そして表現力において非常に雄弁であった。珍しく合唱は二期会じゃなかったけど、このホールで二期会で聴いてみたかったなー、と無いものねだり。
 ともあれ安定感のある充実した第九で今年も締めくくりで良かった。

 

大河ドラマ「どうする家康」雑感。

 通読というか、通視聴(こんな言葉ないけど)して思ったことメモ。

①1年間を通して思ったことは原作の小説がない分、最新の研究や解釈を盛り込んだ意欲的な家康像が出来ていたように思う。江戸時代の神君家康とも、逆に明治以降の狸親父とも異なる、人間家康を描いたドラマになったなと感じる。

②人間家康にフォーカスしたドラマだったから三河家臣団との青春群像劇的な要素が結果として強まったかなとも。
そして神君でもなく、信長・秀吉的な天才ではなく、普通の人が努力と忍耐と家臣らの支えによって遂に「元和偃武」を成し遂げるという、親しみのある話になった。

③最終回は演劇人・三谷幸喜の「鎌倉殿」と違って「ドラマ脚本家・古沢良太」的処理だった。ある意味でエンタメはハッピーエンドというみんなが幸せになる最終回になっていた。
鯉のエピソードやえびすくいが印象的に最終回のエピソードに回収され、軽やかなラストである。

④もっとも、「鎌倉殿」のまさに演劇的なラストシーンの演出とは正反対に、瀬名と元康が出てきたり、城下の遥か遠くに現代の東京が写ったりと、許せない人がいそう。そういう視点も含めて「軽やか」なラストであろう。
 新しい研究動向も知ることができたので学びも多かった。

www.nhk.or.jp

朗読劇「スプーンの盾」を観る。

 職場の方から急遽、VOICARION『スプーンの盾』の代打を受ける(シアタークリエ)。この芝居も初めてだったし、朗読劇自体が久しぶりだった(新国立劇場で観た「オズマ隊長」以来だと思う)。アクションが結構入るのかと思ったら、結構ガッツリした「朗読」劇だった。それでも面白いのは各キャラクターが立っているのと、話自体が面白いのと、生演奏だからか。

 ストーリーはナポレオン、タレーラン、アントナン・カレーム、マリー(マリー=アントナン・カレーヌからとった?)の4人による群像劇とでも言うのか。この芝居の売りは3週間くらいにわたって色んなキャストによって読まれるので、古典芸能的な面白さがある。演者による違いを楽しむという、クラシックや落語的な楽しみが出来る芝居だろう。

 以下、箇条書きで感想。

・ナポレオン(石井正則)は歴史的にも身長が低かったし、その喜怒哀楽の表現は割と実像に近かったのでは?と思わせる印象。
タレーラン安原義人)は評伝が専門書くらいしかないので、イマイチ実像が分からない。(メッテルニヒはあるのに)
雄弁なる最後の演説なんかは大河ドラマのキャラみたい。

・カレーム(榎木淳弥)は榎木淳弥を初めて見た。榎木カレームはずいぶん優男というか好青年カレームである。もっとも、今回の石井ナポレオンと安原タレーランが強烈なので食われていたきらいはある。
・マリー(日高のり子)は少年時代のカレームを演じるとまさにジャン。(←ふしぎの海のナディア

 食卓外交の話とか、カレームの伝記(マンガ伝記が出ているようだ)とか、政治史ではないフランス革命史とかも面白いだろうな,と思った。
 これ関係を電書を探ったけれどあんまり出ていないんだよなぁ。
 冬休みの宿題。積ん読が増えていく。。。

www.tohostage.com

東京都交響楽団 第988回定期演奏会Aシリーズ

[出演]
指揮/大野和士
ピアノ/ニコライ・ルガンスキー
[曲目]
レーガー:ベックリンによる4つの音詩 op.128
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 op.1
シューマン交響曲第4番 ニ短調 op.120(1851年改訂版)

 

 都響定期演奏会に行ってきた。
 レーガーを途中まで興味深く聞いたけれど、どうだろう。やっぱりポピュラーにはなれないかな。(N響でやっていたモーツァルトの主題による変奏曲とフーガは面白いなぁ,と思うんだが。そっちをやってくれれば良かったのに。)
 ラフマニノフのピアノ協奏曲1番はルガンスキーソリストに迎えたこともあって、録音で聴くよりよほど楽しめた。作曲者の思い入れは分かるが、2、3番にはなれないかな。ルガンスキーはマシンのように弾き切るけど、ところどころ抒情性があって、多分コレで2、3番やったら客席は盛り上がっただろう。逆にだからこそA定期は1番やる意義があったんだと思うが。

 似たような事例で、チャイコフスキーのp協奏曲第2番もほとんど演奏されない曲なんだけれど、あっちの方は不当な扱いのような気がするんだよなぁ。むしろもっとフォーカスされて良い。もっとも、ロココ風の主題による変奏曲も滅多に載らないから難しいだろうなぁ。メンデルスゾーンのピアノ協奏曲とか、定期で採り上げても良いと思うんだけれどな。颯爽とした良い曲だと思うけど。

 閑話休題

 シューマンの4番は弦がしっかり弾き切っているので爽快。
ただ、大野和士は弦をスッキリと弾かせているので、団子化したような響きを期待していると、「シューマンオーケストレーションが下手だというやついるのかよ!?」という勘違いを招く(笑い)。
 一方で、シューマンの“あの響き”が好きな人には物足りないかも。
 ただ、3曲並べるとシューマンの才能が光っていた。やはり天才である。