日本的なるモノの剔出
東京都交響楽団 第638回定期演奏会 《別宮貞雄プロデュース 日本管弦楽の名曲とその源流3》
会場:東京文化会館
松村禎三:管弦楽のための前奏曲
松村禎三:ピアノ協奏曲第1番
ミヨー:ディヴェルティメント 「ケンタッキアーナ」 作品287
オネゲル:交響曲第5番 「三つのレ」
指揮:下野竜也
ピアノ:野平一郎
作曲家別宮貞雄が三年計画で日本音楽の名曲とそのルーツとなるヨーロッパの音楽を紹介するこのシリーズも無事に2年目に突入。
コンサート前に、別宮が今回の曲についてトークする予定だったが、勘違いして来週の公演の曲目を話していた。(あとで気づいて、その後、本題に入ったけど…)
村松禎三は伊福部昭の弟子にあたるそうだ。
師と同じく、日本的なモノに留まらず、広くアジア的なものを西洋音楽の手法で表現しようとしているらしいが、管理人個人の感想から言えば、どうも、その音楽は師・伊福部ほどの高みには達していないような気がする。
管弦楽のための前奏曲もピアノ協奏曲もアジア的な時間概念を感じさせる、つまり時間が循環しているかのような音楽だった。
しかし、しんねりむっつり、というか、盛り上がっているんだけどドラマ性がないというか…中央アジアの宗教音楽のような、そんな感じだった。それぞれの楽器によるハーモニーよりは、それぞれが関係し合いながら相互に独立し、かつ、何層にもわたって積み重なっていくような音楽である。
それは、協奏曲なのに終始ピアノが弾きっぱなしだったりするところからも明らかだと思う。それを好きと捉えるか嫌いと捉えるかは、好みの問題かもしれない。
どーも、西洋とは違ったモノ、を意識しすぎるがために、「音」を「楽しむ」ところからは離れていってしまった気がするけどなぁ…。武満も苦手だから、個人的にメロディラインのない曲自体が苦手なのかも。
ミヨー、オネゲルはフランスの作曲家。プーランクらと共に「6人組」を結成した音楽家ですね。
こっちの方がずっと面白かったな。特に、北アメリカの民謡から着想を得た「ケンタッキアーナ」(あのケンタッキーと同じくケンタッキー州のあたりなんだろうなぁ)は素朴な民謡のメロディをミヨーの持つフランス音楽的な鮮やかな色彩感を持って再構成した名曲。
ちなみに、上述村松のCDは山田一雄による協奏曲第一番が、熱演。多分、指揮者の下野が端正に演奏しすぎたというのもあるのだと思う。だから、エネルギーが爆発するような箇所でも振る舞い切れてないんだろうな。
- アーティスト: 東京都交響楽団,松村禎三,外山雄三,野島稔
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1995/09/21
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- アーティスト: 読売日本交響楽団,松村禎三,若杉弘
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追記。
パンフレットに一緒に入っていたビラに次のようなお知らせが…。
【都響×のだめカンタービレ シンフォニック・コンサート】↓がコンサートHP
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3100
2007年4月12日(木)19時開演@東京芸術劇場(池袋)
だそうな。曲目は、ラフマニノフのピアノ協奏曲とブラームスの交響曲第1番。
指揮者はもちろん、のだめにも登場のジェイムズ・デプリースト。
デプリーストファンやのだめファンなら是非、ですね