あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

東京都交響楽団 第715回 定期演奏会Aシリーズ

会場:東京文化会館

指揮:モーシェ・アツモン
ヴァイオリン:竹澤恭子

アツモンによる大震災被災者へのお悔やみの言葉。
バッハ:G線上のアリア
黙祷

エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調
ブラームス交響曲第2番 ニ長調

 震災の影響で1月以来(2月は定期演奏会が元々無かった)の都響定期だ。
 御年80才になるアツモンであるが、この状況下で、良く来日したなぁ・・・。きっと友人や家族に現時点での東京行きは止められたと思う。管理人だって、これが海外旅行だったら、多分諦めてしまうだろう。音楽で人々を勇気づけたいという余程の使命感がないと、来日は無理だ。だから、今回アツモンの来日には驚くと共に、感謝する次第だ。
 本当にありがとう。

 さて、エルガーである。今回はロマン派の2人で、いずれも中年男性の渋みを感じさせるような作曲家である。このヴァイオリン協奏曲は50分くらいの曲で、エルガーの一番脂が乗っている時期に書かれた傑作である。
 しかし、エルガーの名演を聴くのは結構難しいと思う。シベリウスブルックナーみたいに、結構、奏者を選ぶ作曲家ではないだろうか。それでいうと、ソリストを務めたヴァイオリンの竹澤は、この曲を完全に自分のモノに消化していた。
 一音一音、曲のすみずみまで「この曲はこうなのだ」という説得力がある。都響定期でここまで説得力のある協奏曲を聴いたのは、小山実稚恵ラフマニノフ以来である。
 それでいうとアツモンの指揮するオケは、息は合っていたけれど、もうちょっとエルガー的なロマンティズムに不足していたような気がする。安定した指揮ぶりなんだけれど、現にもっと厚みとロマン性が欲しい。

 それはブラームスでも同じだった。
 非常にたっぷりとして気持ちの良い音量なのだが、夕映えするような、男のロマンがどうも足りない。もっとも、やや遅めのテンポで、各パートをしっかりと鳴らせているから、その意味では全くストレスはない。無い物ねだりになるかもしれないが、もうちょっと欲しいなぁ・・・。という感じなのだ。
 もっとも、毎回同じように、管理人は朝比奈のブラームスチクルスが一種の理想としてあるのが影響しているのかもしれない。
 都響の弦楽セクションの美しさはあまり感じられなかったが、木管ティンパニは総じて素晴らしく、なかなか感動的であった。

 そして、改めて、東京文化会館をホームにする都響は、ここのホールの「鳴らせ方」を良く分かっている。歪みのない、良い響きに満たされた2時間であった。