あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

「作曲家の肖像」シリーズVol.94《マーラー》

14:00開演/東京芸術劇場
東京都交響楽団
指揮:エリアフ・インバル
マーラー 交響曲第6番 イ短調「悲劇的」


 都響&インバルの新マーラー・チクルスは、交響曲第6番だ。
 インバルが首席指揮者に就任してから早速マーラーチクルスをしていたが、今度は退任に併せて再びマーラーで締めるというのがインバル&都響らしい。
 新マーラー・チクルスは昨年9月の東京文化会館での「巨人」しか聴けていないが、その時もインバルは完全にこの作曲家を「自分の心の作曲家」として共鳴しきっていることを窺わせる演奏だった。

 今回の6番もインバルは曲を完全に消化しており、若杉、ベルティーニはじめマーラー全曲演奏を何度も行っている都響がガッツリと組んで、音符の一音一音もゆるがせにしない「とてつもない」演奏だった。むしろ、日本でこれだけの水準のマーラーが演奏されたのが凄い。
 大手メジャーレーベルから出ている(名前は出さないけど)海外名門オケの演奏などよりもよほど優れている。
 この演奏に比較可能なのは個人的にはバーンスタインかバルビローリかテンシュテットのライヴくらいじゃないか?とさえ思えてくる(もっとも6番は結構アプローチの違う名演があって面白い。ノイマンも逆ベクトルながらイイ演奏だと思う)

 演奏の方向も、今挙げた3人の演奏の要素を含みつつ、随所にインバルの演奏に見られるグイグイと引っ張るところと思い切り解放するところのダイナミズムも加わって面白かった。第1楽章はここまでやるか?と思わせるロマン的な表現だったが、それが終楽章に向けて猛烈な集中力で、厚みのある、しなやかな弦の響きと共に豊穣なる音楽を作っていた。

 とても良い演奏会だった。