あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

映画「ラーゲリより愛を込めて」を観た。

lageri-movie.jp

 クリスマスだというのに「ラーゲリより愛を込めて」を観た。実話を基にした映画というのはいろいろあるけれどシベリア抑留をテーマにした映画は少ないんじゃないだろうか。
 なお、本作は、辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」が基である。

 ハルビンの満鉄で働いていた主人公・山本(二宮和也)がソ連に捕虜としての強制収容所ラーゲリ)へと送られる。そこで多くの戦争捕虜と共に強制労働に従事する日々を送るが、過酷な環境に周囲が絶望していく中でも希望を失わず、仲間と共に帰国(ダモイ)の日を待つという日々という話だ。むろん、(ロケ地の)北海道とシベリアでは環境は違うし、身につけているものもキレイでしっかりしている。その意味では作り込みの甘さがあるかも知れない。しかし、映画館の客層がそうだったように若い人たちにこそ観てもらいたい映画であるのは間違いない。それは成功している。

 自分が小学生の頃には戦前生まれの先生が学校には残っていて(実際に担任だった)、戦争は祖父(母)が従軍し、近所のおじさんは戦中の生まれである、というような自分にとっては「遠いけれど、遠すぎない時代」という感覚がある。
 けれど、既に戦後77年。戦争は教科書の中の話だろう。そんな今に、(研究の少なさもあって)あまり触れられない「シベリア抑留」と事実と、その中でも人間の尊厳を失わない大切さ、という普遍性を獲得した映画だったと思う。
 なお、個人的にはクライマックスに当たるシーンの安田顕の両目から零れる涙が圧巻の芝居だった。