今年最後のコンサートは東京シティpo.と飯守泰次郎によるベートーヴェンの第九。
飯守が第九を振るのは久々で、最近の足腰の弱り具合からするとそんなにチャンスは多くないな,と思ってチケットを買った。シューマンのときより一層、覚束ない足取りにヒヤリとするが、腰から上は元気である。
演奏自体はカペルマイスターの面目躍如(!?)と言えるオーソドックスながら音楽の自然な盛り上がりと聴きどころをしっかりと押さえた熟練の音楽だった。
1楽章のティンパニの刻み、チェロとコンバスの力強い響きやピチカートはいかにも飯守節とも言える。第3楽章はゆっくりと、かつ、横の線が強調されて時には弦と木管とが対位法的にも聴こえてくる近年にしては珍しい(ここまで思い切れない)。4楽章もオペラ的というか聴きながらカイルベルトとかあのあたりを思い出してしまうような演奏で安心感があった。
ただ、シティフィルにとっては既に本拠地から離れて久しい文化会館は少し苦しかったなとも思う。残響の多いホール(オペラシティ)に慣れちゃうと文化会館はすごくデット響きのするホールなので、どうしても情けない響きになってしまう。このへん、20年前に文化会館でやっていた頃と同じ印象を持った。(都響と常任陣はよく分かって、あのホールをよく鳴らしている。よく鳴らすと良いホール)
ともあれ、従来のスタイルであってもこの曲の魅力が消して損なわれることがないということを実証した演奏だと思う。(贅沢を言えばオペラシティで聴きたい。コーラスの余地がないか!?)