今日の「映像の世紀」は戦時下の芸術家だった。何の因果か、ちょうど坂本龍一の他界の報が出た翌日にこうした番組が放送されたのだけれど、内容はクラシックファンからすれば物足りないが、一般向けには十分だろう。フルトヴェングラーを軸にショスタコーヴィチや火野葦平らの戦争への関わり方から戦争と芸術のあり方を問うていた。
フルトヴェングラーへの批判と愛着は丸山眞男も述べていたが、トマス・マンの批判にかなり近いと思った。
個人的にはトスカニーニの姿勢に憧れるのでフルトヴェングラーのそれは分かるし同情もするが政治学プロパーとしては抗いたい。
もっとも、ナチのしでかしたこと、を考えるとそれは文化人であってもその責任は免れないし(それでいえばハイデガーでも)、さらにいえばナチを経験した現在において、戦争と文化はどう関わるのかという古くて新しいテーマを考える必要があるんだろうと思った。