あれぐろ・こん・ぶりお 2楽章

備忘録も兼ねて。日記なんて小学生の時宿題で課された1年間しか続かなかったのですが、負担にならないように書けば続くものですね。

朗読劇+ダンス「オズマ隊長」(手塚治虫原作)

朗読劇+ダンス「オズマ隊長」(手塚治虫原作)
新国立劇場 演劇研修所第14期生 公演

www.nntt.jac.go.jp


 先週観てきた新国立劇場「オズマ隊長」(原作:手塚治虫)について書く。
 いやーーーヨカッタ!!!
 キャストは演劇研修所第14期生たち。構成は朗読劇40分+(休憩)+ダンス(劇)40分というもの。
 舞台には白い箱を重ねただけの抽象的な舞台装置。これ自体はよくあるものだ。役者たちはマウスシールド(?)で芝居をしていた。客席は1個ずつ空けての着席だった。今だったらコレがギリギリのラインかもしれない。「人狼~」の一件や演劇部とかでも感染が出たりと、飛沫飛ぶよなぁ・・・とも思うが国立劇場であればそのあたり配慮されるだろうと思って見てきた。
 マンガはビジュアルがあるので世界観とイメージがファンでなくても固定化というか先入観が既にある。にもかかわらず、今回の芝居は作品の持つ世界観そのままに、それを壊さずに演劇として再現できていたと思う。併せて、手塚の構想力というか作品のチカラが図抜けているのだろう。メッセージ性も十分である。(そこはマンガを読んでもらえれば伝わると思う)
 舞台演出で興味深かったのはサスペンションライトとサイドライトの使い方が上手くて(それぞれを青と赤のライトで交差させたり,舞台置くから客席方向にサイドライトを使ったり)SFっぽさ、近未来っぽさが伝わってくる。あと、今のプロジェクターって自在に焦点や場所を決めて投影できて演出の可能性を広げているなと思った。小ホールくらいのキャパだとすごく有効だ。研修生の発表と甘く見てはいけない(演出はプロだけどさ)。基本でありながら新しい。
 キャストも伸びやかに演じていて観ていて気持ちよかった。むしろヘンに役者ズレがないのがイイ。(別に下手だとか言いたいわけじゃなくて)この芝居にはキャストの瑞々しさが絶対必要だと思う。たとえば同じくらいの年齢でアイドルとか若手の俳優をそろえても年齢的には近いし演じられそうだけれど、それだとあの雰囲気は出ないんだよな。上手い高校演劇のノリというか、方向的にはそっちの延長線上にある。(商業演劇ではない方向と言うべきか,その辺りチョット言語化が難しい)
 話が戻って、オズマ役はちゃんと「雰囲気がオズマ」だった。アッペも含めて世界観が崩れていない。コレが実は原作ものの実写化・舞台化で一番難しいような気がする。
あと最後に朗読劇とダンスで演出はそれぞれ別(田中麻衣子・朗読劇、スズキ拓朗・ダンス)だけれど、ラストシーンは似通ったものになったのはワザと?
たまたま似てしまったのかなぁ。
 贅沢を言うと、そこは別にして欲しいかなー。同じにするならもうちょっと時間軸が円環的になるようにもっと寄せた方がキレイかもと思いつつ、その演出の場合、果たしてテーマをどうするんだろうか、とも思う(グダグダ書きながら自分でも未消化)。
 本当にスゴく良くて、コロナ下での演劇の可能性を見られてヨカッタ。やる気が出てきた(←何のだ)。