プログラム
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』組曲(1919年版)
ベルリオーズ:幻想交響曲 op. 14
指揮:シャルル・デュトワ
新日本フィル/デュトワ指揮のトリフォニーシリーズを聴いた。昨シーズンの海やラヴァルスほかのプログラムに続いてのデュトワだ。プログラムはドビュッシー「牧神」、ストラヴィンスキー「火の鳥」、ベルリオーズ「幻想」という自家薬籠中ともいえるプログラム。
結論から言うとデュトワのおなかいっぱいプログラムとでも言うのだろうか。最初から最後まで堪能したコンサートだった。「牧神」のフルートからゾーンに入った感じがする。フルネ/都響の時もそうだったけれど、「印象派の曲をするときのオケの響き」が聴ける演奏会はかなり少ない。
一聴しただけで、それぞれが透明感を持ちながらそれが正しく重なり合い、あの独特の響きをもたらす。フルネの時はそこに荘厳さが感じられたんだけれど、今日のデュトワは穏やかな日差しが差し込むような明るい柔らかさがあった。(それこそモネの「日傘を差す女」の世界)
今日のMVPはフルートではないか?と思わせる展開。
火の鳥も色彩感あるデュトワカラー全開。ココで聴けるとは!「カスチェイの踊り」で聴かせる金管の鋭いながらも無機質にならない響き、見事!
そして、「幻想」はモントリオール響のCDから深化した演奏。あれを想像していたら、大間違いだった。色彩の豊かさやエレガンスはそのままに、コンバスの地鳴りのような響き、1stと2ndヴァイオリンのお互いにうねり合うような掛け合い、これは録音して欲しいなぁ,と思わせる演奏だった。
演奏の衝撃度でいえば都響&ロトに軍配だが、全体としての完成度は今日のデュトワに軍配が上がるだろう。それほどまでにこの「幻想」は聴いたことが音楽人生の宝になる演奏だった。
ここ数年、往時の勢いがないとも評された新日本フィルだけれど、いやいや、デュトワとのコンビ、本当にイイじゃないですか。是非このまま行って欲しい。